伊藤園の「 お~いお茶 お抹茶 」は救世主となりえるか?

2008.06.28

営業・マーケティング

伊藤園の「 お~いお茶 お抹茶 」は救世主となりえるか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

何ともユニークなペットボトル緑茶飲料の発売が報じられた。「 お~いお茶 お抹茶 」。 何でも<「抹茶入りキャップ」を採用。新鮮で豊かな旨みの抹茶を手作りで味わえる 飲用時に抹茶と天然水を混ぜ合わせて作る抹茶飲料>とのことだ。発売の狙いは何だろうか。

もう一つの、他社からパイを奪うという側面はどうだろう。希望小売価格は275mlで税込 198円。この値段は昨年秋から始まった、プレミアム緑茶飲料への参戦を意味している。

参考:「緑茶飲料・秋の陣を占う」2007年10月18日  http://www.insightnow.jp/article/639

伊藤園プレミアムおーいお茶、キリンビバレッジ生茶玉露、日本コカ・コーラ綾鷹上煎茶の三つ巴で幕が開いたが、現在の所、目立っているのは「綾鷹」ぐらいではないだろうか。
事実、綾鷹はうまい。425ml・158円とちょっと両少なめ、値段高めなのだが全く気にならない、味わいの深みがある。

綾鷹の特徴は、何といっても「にごり」にある。「にごりの中に茶のうまみが含まれている」と言いきり(筆者としてはかなり納得してしまっている)、それを目に見える形で製品化している。
製品登場時のCMでは真田広之が舞妓さんに「振っておくれやす」と言われ、ペットボトルの振り方を指南される内容であった。キャッチコピーは「ボトルを振るとお茶が目覚める」だ。

こうして考えると、何やら「 お~いお茶 お抹茶 」は「綾鷹キラー」とも思えてくる。
抹茶なら、当然透明ではなくにごるだろう。何やらうまみたっぷりな気配だ。
また、粉を水と混ぜるのだ。「振っておくれやす」どころではなく、かなり強烈に振らなければならないだろう。しかし、そうすることによって、自ら美味しいお茶が作れるというのはなかなか楽しい体験に違いない。

伊藤園の真の狙いがどこにあるのか、また、この製品をテスト販売後に、業績回復の起爆剤として期待しているのかも分からない。しかし、うまくすると、新たな顧客層開拓と、綾鷹ユーザーの取り込みで結構検討するのではないかと思う。
そのためには、今までなかった「振って飲む、新鮮でうまい抹茶飲料」という切り口と、「強烈に振る」という今までにない体感を訴求すべきではないかと思う。

元々は「お~いお茶」派でありながら、最近、綾鷹に転んでいる筆者は密かに応援しているのだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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