小売店の競争マイオピア

2008.06.25

仕事術

小売店の競争マイオピア

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

小売店の「業態別」の成長(成熟)度合いを把握するため、 「製品ライフサイクル」 に当てはめてみます。

詳細な解説は末尾に示した参考記事をご覧いただきたいのですが、

「相手プレーヤーの戦略が変わらない時に、
 自分1人だけ戦略を変えても利得が増えないような状態」

と言える

「ナッシュ均衡」

をどの店舗も選んでしまうために同質化が起きるのです。

総合量販店は、前述したように、
基本的に商圏内の「最大公約数的ニーズ」に対応する
店づくりを目指しています。

端的に言えば、大量に売れそうな商品しか置かない。

ここで、ある店が差別化のために、
あえてユニークな商品を入れたらどうなるかというと、
好き嫌いが明確に分かれる商品ですから、
たくさんは売れませんし、競合店に客が流れてしまい、
売上が低下するのは明らかです。

したがって、お互いナッシュ均衡を選ぶしかないというわけ。

なお、このゲーム理論による説明は、
覇権を狙う大手政党(米国における共和党と民主党、
日本における自民党と民主党)の政策がどんどん
似通ってくることにも適用されています。

選挙で少しでも多くの支持者を得ようと思ったら、
過激な政策ではダメ。

むしろ、多くの支持者が拒否反応を示さないような、
中庸で無難な政策をお互い打ち出すしかないですし、
また競合政党の政策の中で支持率の高いものがあれば、
やはり競争上、類似の政策を掲げて支持率を高める行動を
取るしかないからですね。

*総合量販店の同質化についての研究

 「GMS激突競争における競争マイオピア」
  (田村正紀氏、同志社大学教授、)

*ゲーム理論による店舗同質化についての参考記事

 「経済学で斬るビジネス潮流 ゲーム理論」
 (文:広野彩子氏、監修:安田洋祐氏、政策研究大学院大学助教授)
  日経ビジネス マネジメント、Summer 2008

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

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