シャドーサイト:ペッパーランチのケース

2007.05.18

営業・マーケティング

シャドーサイト:ペッパーランチのケース

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

先日のペッパーランチ心斎橋店の暴行事件には唖然ですね。 同店の店長と店員の2人が、店内で食事中の20歳の女性を スタンガンでおどして車で連れ去り、乱暴したのみならず、 女性の財布も奪うという極めて悪質な犯罪。

事件当時2人は制服姿であり、警察の調べに対して、

「インターネットでスタンガンや睡眠薬を購入し、
 女性客を物色していた」

とのことです。

被害者の女性は、本当にお気の毒です。

まさか「ペッパーランチ」のような大手飲食チェーンの店内で
犯罪に巻き込まれるとは予想もしていなかったでしょうね。

今回の事件は組織犯罪ではなく、
あくまで個人が起こした犯罪ではありますが、
同店のブランドへの被害も甚大です。

「ペッパーランチ」は、
一夜にして汚れたブランドになってしまいました。

女性客は、とても入る気がしないでしょう。

ペッパーランチは、私も結構好きでした。
渋谷店などによく行ってましたが、もはや食事を
楽しめそうにないので、しばらくは行く気になれません。

こうした事件が起きると、

「なんでそんな悪質なやつを雇っていたんだ!」

などと、無責任な発言をする人が必ず出てきますが、
それは現実問題としては難しいことです。

この考えが行き過ぎると、

「犯罪歴のある人は雇用しない」

といった雇用差別につながりかねませんし。

さて、今回の事件を受けて、
運営会社の「ペッパーフードサービス」は、5月17日、
Webサイトで真摯な謝罪文を掲載していますね。

→ペッパーフードサービス

同社では取り急ぎ、すべてのコンテンツを隠し、
トップページに謝罪文だけアップしています。

最近知ったのですが、
こうした謝罪に相応しい処置を施したWebサイトのことを

「シャドーサイト」

と呼びます。

「シャドーサイト」は、
企業広報における危機管理の一環としての対応です。

事件発生以前に作成されていた派手なトップページのまま、
謝罪文を掲載しても、企業の気持ちは伝わりません。

そこで、フラッシュ動画を削除したり、
地味な色合いのレイアウトに変更することにより、
サイト全体で、お詫びの気持ちを伝える工夫が必要に
なってきます。

シャドーサイトの体裁や内容ついて、定型のひな型が
あるわけではないそうですが、どんな優良企業であっても、
いつどんな形で謝罪をしなければならなくなるかわかりません。

ですから、事前に自社における「シャドーサイト」の仕様を
決めておけば、迅速な対応が可能になりますね。

「ペッパーフードサービス」の場合は、
同社にとっても想定外の事件でしたでしょうし、
おそらく慌てて作成したシャドーサイトだと思います。

しかし、すべてのコンテンツを隠してしまうのは
ちょっとやりすぎだったかも知れません。

心斎橋店以外の店は平常どおり営業しているでしょうし、
残りのまじめに働いているスタッフの皆さんの士気を維持し、
またブランドを立て直すためにも、基本的な情報はこれまで通り
オープンにしておいて良かったんじゃないでしょうか?

*シャドーサイトについては下記記事を参考にしました。
 この場を借りてお礼申し上げます。

→企業Webサイトの危機管理事例
 (雨宮和弘氏、クロスメディア・コミュニケーションズ)

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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