悩みは胸に・課題は頭脳に

2008.06.09

ライフ・ソーシャル

悩みは胸に・課題は頭脳に

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

ある講演会に参加した。そこで伺った話と、そこからの筆者の気付きを備忘のため記したい。気付きを共有していただければ幸いだ。

講師の方は今年60歳になられる、伊藤良男氏というパンの製造販売を営んでいる方だった。
<株式会社 グランパ:http://www.grandpa.co.jp/corporate/

プロフィールによると、「食品関連の企業を経て開業」ということだったが、講演中の開業経緯の紹介によると、15年前に突然のリストラに遭われたという。その後、様々な苦労を経て10年前に開業と相成るわけであるが、その間、様々な蹉跌や挫折を経験されたとのことだった。
講演のタイトルは「つまづいたおかげで」であった。その由来は相田みつをは数々の珠玉の言葉の中の代表的な一つ、「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」だろう。詩人であり、書家である相田みつをが、伊藤氏の15年間の苦労を支えた精神的支柱であったようだ。伊藤氏の店には「相田みつをギャラリー」が併設されている。

講演内容は、意外なことに伊藤氏の苦労話や講演タイトルにあるような「つまづき」の紹介はほとんどなく、多くの人に共通する、苦労・懊悩に対する心構えや、それらとの付き合い方を説いたものであった。いや、正確には説く表現や教え諭すという話し方ではなかった。「これが正しい」と語るのではなく、「気付き」を促すものだったように思う。

その講演の中で、講師である伊藤氏が相田みつをの「悩みはつきねぇんだなぁ生きているんだもの」という言葉を紹介しつつ、「悩み」について問いかけをした。
「皆さんの中で悩みを持っている方はいらっしゃいますか?」。会場の聴衆は、ほんの数人しか手を挙げなかったが、筆者は挙手をした一人だった。
講師から「悩みはあった方がいいか? 悩みは身体のどこにある?」と質問をされた。平素「悩みなくして成長なし」と考えているので先の問いは問題ない。しかし、「悩みの在処」は一瞬、「心か頭か?」と躊躇しながら「悩みはあった方がいい。悩みは身体の中心・心の中にある」と回答してみた。
講師からはそれに対し、何が正解という回答はなかったが、演壇の黒板に「悩みとはこのような字を書きます」との紹介があった。立心偏(?)があるので、やはり「心」と関係していると言うことだろう。

その講師とのやりとりの中で、筆者は一つの気付きを得た。確かに「悩み」は心の中にあるのだろう。しかし、悩みを悩みとして抱えていたのではいつまで経っても解決しない。人間としても成長しない。筆者の頭にひらめいたのは「悩みは胸に・課題は頭脳に」だ。胸中、もしくは心にある「悩み」を分析し、解決すべき「課題」に昇華させ、頭脳に送り届けることが大切なのではないだろうか。そして、解決すべき目標を定め、計画を立て、実行する。分析(Analysis)→目標(Objective)→計画(Plan)→実行(Do)。通常のP・D・C・A(Plan・Do・Check・Action)といわれるものに、前に2段階足してみたようなものだ。分析した結果、課題抽出ができれば、目標が立てられる。計画的に解決のための行動もとれるということだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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