間違いが起きるたびに確認する人を一人足しているのに、同じような間違いが続く。そんな職場の経営者や管理職に向けて、確認する人の注意力を問う前に、確認の分担の決め方から考えます。人が増えるほど、前の人が見たはず、次の人が見るはずと互いに当てにし、誰が何に責任を持つかがあいまいになりがちです。出荷前の検品を仮の例に、確認の段ごとに見る項目と責任を分けて決める手順と、これから確認を足すときの問いを示します。
二人目、三人目の目は要る
人の目は、見落とすことがあります。別の人がもう一度見る手順には、はっきりした意味があります。取り違えると取り返しのつかない品物や金額を扱うなら、なおさらです。
ここからは、確認の一回一回を「段」と呼びます。気をつけたいのは、段の数が増えても、それぞれの段が何を見るのかが決まっていないことです。見る項目が決まっていなければ、三人いても、同じ一つの確認を三回しているだけになりかねません。
冒頭の倉庫で三人がそろって数を数えていたのは、二人目も三人目も、数量の違いを止めるために足された確認だったからでしょう。間違いのたびに、その間違いに向けて人を足していくと、確認は同じところに集まりがちです。そして次の間違いは、どの段の項目にも入っていないところから出てきやすくなります。
段ごとに違うものを見ているのなら、段が多いこと自体は悪いことではないはずです。
人を足す前に、段ごとに見る項目と責任を決める
最初にすることは、いまある確認の段を順に書き出し、それぞれの段で何を見ているのかを担当者に聞くことです。
「全体を見ています」という答えが返ってきたら、その段の受け持ちはまだ決まっていないと考えてください。
次に、確かめるべき項目を並べます。冒頭の倉庫なら、品物の種類と数、同梱する書類、伝票とラベルの宛先、箱の傷みといった具合です。確認している本人たちに入ってもらうと、現場でしか気づかない抜けが出てくることがあります。
そのうえで、項目を段に割り当て、項目ごとに責任を持つ人を一人決めます。詰めた人は品物と数、二人目は同梱物と宛先、班長は箱の外側と出荷先ごとの仕分け、というようにです。
並べてみると、誰の項目にも入っていないものが見つかることがあります。宛先の照合は、まさにそういう項目でした。割り当てが決まると、三人目が本当に要るのかどうかも、改めて考えられるようになります。
決めた割り当ては短く書いて、確認する場所の目に入るところに置きます。「自分はここを見る」と分かっていれば、前後の人を当てにする余地は小さくなるはずです。
項目ごとに決めた人は、その項目で見落としが出たときに、見方や手順を見直す役です。間違いのたびに名前を挙げて責めるための役にはしないでください。
間違いが起きたときに最初に確かめることも変えます。人を足す前に、その間違いがどの段の、どの項目で見落とされたのかを見ます。どの段の項目にも入っていなかったのなら、先に足すのは項目の割り当てです。
仕事の分担と決め方から考える職場
2026.10.23
2026.11.02
株式会社DroR 代表取締役CEO
フクシマガリレイ株式会社(現 ガリレイホールディングス、東証プライム上場)を経て、2023年に株式会社DroRを創業。組織開発の実務に4年携わり、従業員50〜300人規模の企業で経営層・人事・現場のあいだに入り、意思決定の詰まりなど職場の問題を組織の構造から読み解いている。共著論文が2026年に査読誌Frontiers in Psychologyに掲載された。
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