コンサルタントの矜持(2) 価値を共創する

2026.01.13

経営・マネジメント

コンサルタントの矜持(2) 価値を共創する

村上 和德
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長

前回は、「顧客を知り尽くすこと」「外部環境の本質を読むこと」の重要性についてご紹介しました。しかし、顧客理解と外部環境理解はコンサルタントとしてのスタート地点に過ぎません。そこから先、価値を設計し、届け、成果につなげるプロセスこそがコンサルティングの腕の見せどころであり、その中核となるのが「セールスシナリオ」と「価値共創」です。

前回は、「顧客を知り尽くすこと」「外部環境の本質を読むこと」の重要性についてご紹介しました。しかし、顧客理解と外部環境理解はコンサルタントとしてのスタート地点に過ぎません。そこから先、価値を設計し、届け、成果につなげるプロセスこそがコンサルティングの腕の見せどころであり、その中核となるのが「セールスシナリオ」と「価値共創」です。

セールスシナリオを書く

コンサルタントの大事な仕事のひとつに「顧客開発の代行」があります。クライアントのコンサルティングを行う上で、その会社の営業代行が最初のベースになります。優秀なコンサルタントは、クライアントにお客様を紹介することがよくあります。本当に顧客を知り尽くしているのであれば、その会社の商品は自分でも売れるはずだと思っているからです。つまり、「俺のほうが営業うまいよ」というアプローチが一番早くて確実なのです。

例えば、以前私があるITソリューションの売り方を、若手営業に指導していたときのことです。売上は多少良くなるものの、大きな成果にはなかなかつながっていませんでした。そんなとき、ある会社の人事担当者が「このシステムは最高だよ」と話しているのを耳にしました。辞めたアルバイトの残業代処理など、勤怠管理が圧倒的に楽になるという評価でした。そのような価値を私はそれまで知りませんでした。そのときようやく、そのシステムがクライアントの業務の中で「本当はどこで刺さるのか」を理解したわけです。この価値をつかんだ私は、同じ課題を抱えている別のクライアント企業に向けてこのシステムの提案を行ってもらったところ、すぐに成約となりました。価値の本質をつかみ、正しい顧客に正しく届ければ、営業は驚くほど早く成果につながります。

こうして売れる理由を言語化し、誰が聞いても理解できる形に落とし込んだものがセールスシナリオです。戦略商材をどこにどのようなスタイルで仕掛ければ前に進むのかを描き、クライアントとともに市場へ価値を届ける。次のセールスシナリオをクライアント以上に上手に書けるかどうかが、コンサルタントの腕の見せどころです。

つまり、顧客にとっての新たな価値を創り上げるわけです。事業にとっての価値が見えなければ、どんなに高価なシステムでも、スペックの積み重ねでしかありません。事業に価値をもたらしてこそのソリューションです。そしてこの「価値を共創する」という姿勢は、私がコンサルティングの核として大切にしている考え方にも通じています。私は価値共創型のコンサルタントでありたいと思っています。セールスシナリオを書くことも、伴走型の研修も、人的資本形成の支援も、すべては価値共創の流れの中にあります。

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村上 和德

ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長

1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。

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