ビジネスパーソンとしての実行力(1) 自分にベクトルを向ければ、実行力は高まる

2025.09.25

経営・マネジメント

ビジネスパーソンとしての実行力(1) 自分にベクトルを向ければ、実行力は高まる

村上 和德
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長

多くのビジネスパーソンは、日々、ルーティンワークと呼ばれる同じような仕事を繰り返していますが、当然、新しい結果を得るためには、新しいことを行う必要があります。 そして、成長意欲があり、チャレンジ精神をもっている人は、新しい結果を出したい、これまでできなかった目標を達成したい、新たなビジネススキルを身につけたい、といった意欲のもと、さまざまなことにチャレンジを開始するわけです。その結果がどうであれ、自分自身の成長のために何かをやろうと考えることは素晴らしいことで、それだけでも「高い意欲を持っている」と高評価につながります。

やる気を持って始める人は多いのに、実行し続けられる人はごく少数。この「実行意欲はあるのに継続できない」という事実は、あらゆる分野に共通しています。

誰もが実体験として「思うようにいかない」と思った経験があるはずです。これは、実際の成長は下図のようにS字型のカーブを描くからだとされており、その曲線がSの形に似ていることからシグモイド成長曲線と呼んでいます。

この図のように、成長は一直線ではありません。成長には時間がかかり、ほとんどの場合、停滞期があります。成長に向かっているのだけど、結果がついてこない、アウトプットが出にくいといった状況がしばらく続きます。

営業職でよく言われる「2年目のジンクス」もそのひとつといえます。最初の1年はなんでも素直に従い、謙虚さもあるので伸びるのですが、2年目になると謙虚さが薄れ、シグモイド曲線で表される停滞期に入ります。

ここで、いわゆる実行力が伴わない人は、人のせいにしてしまうわけです。ほとんどの人は、うまくいかない原因や目標達成できない理由を外に求めます。不景気だから、会社の仕組みが悪すぎる、投下予算が足りない、うちの会社では無理、こうした言い訳が山のように出てきます。これでは、自分の成長にはつながりません。自分が変わることを否定するわけですから、そこに成長も進歩もありません。

しかし、この停滞期に諦めずに踏ん張れば、停滞期を突き抜けることができます。それは単に耐えるだけでは抜け出すことはできません。脳をバージョンアップさせることが必要です。バージョンアップするというのは、環境や他人のせいにするのではなく、思考の矢印をすべて自分に向けることです。

「このままではうまくいかない。どうしたらいいだろう」と必死に考えることです。解決策は自分の中にしかありません。外に求めるのではなく、自分に向けるのです。

その結果、脳がバージョンアップし、急にコツを掴み始めます。うまくいかない原因は自分にあると考え、実行し続けた人だけがこの変化を経験できるのです。

原因を自分に向ければ、やるべきことも見えてきます。これまでやってきたこととは全く異なるやり方を選択することも可能でしょう。私は、本当の実行力とは、この真逆をやる力だと考えています。同じことを、同じようなトーンで、同じ回数やっていても、それは本当の実行力とはいいません。

次のコラムで詳しくお話しましょう。

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村上 和德

ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長

1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。

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