チームメンバー同士が手をつなぎ、信頼の絆でつながっている状態をつくることが、リーダーの大切な役割であり、チームの目標を達成するために必要なことです。こうした状態ができあがれば、リーダーが不在の時にも、メンバー一人ひとりが明確な職責と使命感を持って、頼るべきときには仲間を頼り、踏ん張るときには自らの責任感の下に仕事を進めていくチームになります。そのようなチームビルドこそがサーバント・リーダーシップの目的です。 つまり、リーダーの究極の目的は、リーダーがいなくても、問題なく回る組織をつくることです。そのためには何が必要かについて考えてみます。
経営者が不在でも仕事を回していける会社では、すべての社員が会社のミッション・バリュー・ビジョンを理解し、それに沿って主体的に行動することができます。その結果、組織全体の意思決定力が高まり、事業が継続的に発展していきます。ですから、リーダーとして最も誇るべきことは、自分がいなくても回っていく会社をつくることなのです。
仕事断食
社員が主体的に仕事をしている会社は、リーダーがチーム力を上げられるように、部下一人ひとりへの支援、つまりサーバント・リーダーシップが機能しています。リーダーが部下の力を最大限引き出せるように、チームの仕組みを整えているからです。誰が社長をやっているのか一般には知られていなくても、あるいは社長が変わっても、ずっと儲かり続けている会社があります。
では、そんな組織をつくり上げるために、経営者はどうすればよいのか。この問いに対して私がお勧めしているのが、「仕事断食」です。
断食は、単にごはんを食べないということではありません。 食事を断つことで、体内で良い変化が起こることを期待して行うものです。仕事断食も同様に、単に休暇をとることではなく、「今日の仕事」をしないということです。経営者は「今日の仕事」をするのではなく、「未来への投資」の時間に充てます。例えば、目の前の仕事について社内のメンバーに相談したり指図したりするのを控えて、普段は時間がなくてなかなか会えない、素晴らしい人の話を聞きに行く。あるいは、新しいインプットを行い、自分の中で熟成させる。つまり、経営者がひとりで考える時間を意識的に確保するのが「仕事断食」です。
自分が本当にめざすべき組織はどういうものなのか。どうしたらそこへ向かうことができるのか。自分自身に問いかけてみてはいかがでしょうか。
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2009.02.10
2015.01.26
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長
1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。
