ビジネスパーソンの働く環境は、プールから外洋まであり、外洋で泳ぐ、いわゆるグローバルエリートは、解決策は外にあると考え、外にいる本物の役者たちと対話を重ねていると紹介しましたが、プールで泳いでいる人が外に出て、本物の役者たちに出会い、付き合っていくためには、どのような価値基準を持ち、どのような力を鍛えていけばよいのでしょうか。
そのような社会になっていけば、自己主張が強い「この指とまれ」というアメリカ型のリーダーシップではなく、むしろ「これすごいね」と相手を尊重しながら、自分よりも優れたスキルや専門性を持つ人を素直に頼る、そんなコネクティビティネットワークを個々人が自らつくっていく時代になっていくはずです。
そのとき、東洋思想的な価値観がベースにあれば、これからのデジタル化社会においてより豊かなビジネスライフを送れるのではないでしょうか。仏教の「八正道」に通じるような、正しくものを見て、正しく考え、人を傷つけないといった、東洋思想的、仏教思想的な価値観を持ちながら、一方では、デジタルネットワークによって、地球の裏側にいる同じ思考やマインドを持つ人々とつながっていく。
「善意に照らし合わせてオピニオンを発する」「僕らのコミュニティでは人の悪口を言わない」といった価値観は、欧米では軽視されがちですが、実はこれからの情報社会では重要な行動指針となるはずです。
グローバルエリートとは、人とどうつながり、どう信頼を築くかを大切にしている人たちです。そしてその延長線上にあるのが、人を支えることで導く「サーバントリーダーシップ」です。価値観やマインドを共有する者同士が国境や文化を越えてつながる社会において、互いを尊重し、共に成長していこうとする姿勢がとてもますます重要になっています。そうした環境では、自らの立場や力を誇示するリーダーシップよりも、サーバントリーダーシップがより一層強く求められる時代になっていくでしょう。
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2009.02.10
2015.01.26
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長
1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。
