古今東西の経営書で、「戦うな、ブルーオーシャンを目指せ、オンリーワンを目指せ」ということが戦略上大切なこと、と言われ続けています。果してB2Bのマーケットでもブルーオーシャンを目指すことが正しい方向なのでしょうか?
『競合のない世界が、“お花畑”なのは一瞬だけだ。その対価が、高額であればもちろん、リーズナブルであっても、特定の1社でしかできない技術は、排除の対象になる。なぜなら、供給安定性の観点でアウト、つまり特定の1社から割りあてられる生産キャパシティが、自社の生産キャパシティを制約してしまうからだ。』
『競合がいないことは、良いこともあるが、原価に対して、適切な利益だけしかオンしていないのに「高い、高い!」とネゴられるリスクを孕む。繰り返すが、賃加工業者が目指すべきは、汎用的な加工を競合他社が真似できないほど突出した効率で加工する技術の獲得である。』 と。
かつて、日本の製造業のグローバル化に伴い、製造拠点が海外に移転し、従来の中小製造業者が、特に量産品について、コスト競争力を失った時がありました。この時には、日本の中小製造業は、熟練技術による高品質な試作や単品ものへのシフトや、自社ブランド(OEM)品への挑戦などが、勧められたのを記憶しています。しかし、このような対応で、ブルーオーシャン、オンリーワン企業になった、という話は殆ど聞かれません。
Mr.Zに言わせると、「B2Bのビジネスでユニークな技術をもっている場合でも、陳腐化する。競合のない世界が、“お花畑”なのは一瞬だけ。」なのです。
調達の現場では、こういうことが起こっています。
昨今、日本企業は一部の企業を除き、セットメーカーは自動車もハイテクもグローバルでの競争力がなくなってきました。日本企業で力があるのは、Tier2以下の原料、素材メーカーです。一方で、グローバルで見ると、元気があるのは、米国のGAFAであり、BYD、TSMC、NVIDIAなどの、力を持つオンリーワン企業でしょう。ずっと時流(波)に乗り、オンリーワンで居続けるためには、そのための投資、技術開発が必要となります。もしくは、汎用的な加工を競合他社が真似できないほど突出した効率で、加工する技術を獲得し、圧倒的なコスト競争力で勝負する必要があるでしょう。
確かに、日本企業の中でも、ブルーオーシャン戦略で成功している企業は多くあります。しかし、ブルーオーシャンで勝ち続けるためは、人、技術、金などの、多大なリソースが必要です。
果して、日本企業はどこに向かっていくのでしょう。また、その中で、調達購買部門はどのような役割・機能を果していくべきでしょうか。とても興味深いです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。
