生成AIの活用事例が想像以上に大きくなっている中、マーケティングや人材開発といった、ビジネスの現場においてはどのような広がりを見せているのか。 すでに生成AIを使ってビジネスアウトプットを出されている金森さん、富士さんに現場レベルでの生成AIの活用状況をお聞きしました。
もちろん、単に「○○に関する3C分析をやって」と生成AIに投げただけでもそれなりの答えが返ってきますが、きちんとポイントを押えたプロンプトを使えば、アウトプットの精度は段違いになります。
猪口:それは便利ですね。金森さんご自身がマーケティングの基本プロセスにAIを融合させる具体的なアプローチも教えていただけますか。
金森:私は、マーケティングの各プロセスに次のようなプロンプトを与えます。AIに適切なプロンプトを入力することで、詳細な分析結果を瞬時に得ることができます。
- 環境分析:PEST分析・5F分析・3C分析・VC分析などの各種フレームワークを基に、市場動向や競合分析をAIに整理させ、迅速な情報把握が実現します。
- 戦略立案:セグメンテーション、ターゲティング&ペルソナ設定、ポジショニングをAIと共に考案。これにより、ターゲットにもっとも響くメッセージの構築が可能になります。
- 施策立案:4Pの観点から具体的な施策立案をAIと共に検討し組み立てます。
- 企画書作成:ここまでの一連の流れを元に、企画提案に落とし込むためのプロンプトを活用。AIが多角的なアイデアを生成し、試行錯誤のプロセスを支援します。
- 生成AIは、与えたプロンプトをどんどん学習して、よりユーザー好みにブラッシュアップしていくので、使えば使うほど省力化ができる点も魅力です。
猪口:生成AIを実践的で効果的に活用するには、ユーザーに基本的なマーケティング知識は不可欠ということですね。
金森:その通りです。ユーザー自身がマーケティングの基本プロセスを理解したうえで、情報収集や分析・立案を生成AIに任せれば、大幅に省力化でき、生成AIの嘘も見抜くことができます。起承転結で構成する企画書の書き方の基本も知っておいたほうがいいでしょう。「起」は背景整理・環境分析など、「承」はセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングなど、「転」では4Pなどの戦術、「結」は効果・予算・スケジュールなどの実施プランです。
猪口:本当に使える企画書にできるかどうかの差が人的スキルにありそうです。
金森:生成AIは、既存のマーケティングフレームワークと組み合わせることで効果を最大限に発揮します。企画書を作成する際、まずプレゼンの時間を基準にページ数を算出し、ページ数分のメインメッセージを一連の分析・立案のやりとりの中からAIに作成させます。そのうえAIに各ページの本文・要点をまとめさせ、具体的な提案内容を作成することで、短時間で質の高い企画書を作成できます。実際に私も、AIを使って企画書を作成し仕事を獲得しています。企画書作成の基本を押さえたうえでAIを活用すれば、手作業よりもはるかに効率的です。
インサイトナウ編集長対談
2024.06.03