幸せを売る「ジャパネットたかた」究極の価値提案営業

2008.04.15

経営・マネジメント

幸せを売る「ジャパネットたかた」究極の価値提案営業

葛西 伸一
株式会社メンター・クラフト 代表取締役社長

1986年に創業して以来22年で、1000億円企業にまで成長した株式会社ジャパネットたかた。 高田明社長一代で築き上げたこのビジネスモデル。 なぜ、ここまで急成長できたのだろうか?

高田社長の本当のスゴさ

昨年、あるセミナーで高田社長の講演を聞いた。
その際に、高田社長は「成功のための条件を一つ上げるならば、それは情熱だろう。」
と語っていた。
それは私がメディアを通じて抱いていた高田社長のイメージと大きな差はなかった。

・顧客を愛し、
・従業員を愛し
・ゆえに、妥協をしない
・やると決めたら、すぐに且つ徹底的に実行する。

こんなイメージだ。

無論、高田社長のカリスマ性がこれまでの急成長の原動力になったことは言うまでもない。
しかしそこで企業として考えなければならいのは、往々にしてこのような企業が陥る、
創業者崇拝病だ。つまり、創業者がいなくなると成長が鈍化してしまうか、もしくは降下してしまうという現象だ。

しかしながら、同社には、高田社長という存在以外のコアコンピータンスが存在することで、
万一社長がいなくなっても、簡単には揺るがないビジネスモデルが確立されている。
それは、究極の価値提案型営業だ。

ジャパネットたかたのスゴイところは、商品を売っているのではなく、幸せを売っているのだ。
これが、一般企業の営業マンが一番苦手なところだ。
たとえば、デジタルカメラをテレビで紹介する。

なぜ顧客がデジタルカメラを買うのか?
それは、素敵な写真が撮って、なおかつそれを大切に保存(印刷、パソコン保存)したいからだ。
これを実現するのがデジタルカメラだ。

視聴者が、
・思い出に残る写真を簡単に取りたい。
・プロのような巧みな写真を取ってみたい。
・簡単に印刷したい。
・たくさん保存したい。
・パソコンで保存したい。etc....

ドリルを売るのではなく、ドリルの穴を売れ

お客様がやりたいこと老若男女が実現できるよう使い方の説明に入る。
そして、製品の長所と消費者のニーズの合致する点は、くまなく説明する。
最後に結果として、デジタルカメラの性能や機能を説明するのだ。

ビールの営業担当者が、居酒屋に営業へいく際にビールを売りこまない。
ということをご存じだろうか。
その居酒屋にマッチする旬の食材やイベントを提案するのだ。
それに合意した店主にたいして最適なビールが自社の商品であることを
説明するのだ。

マーケティングの有名な言葉に、「ドリルを売るのではなく、ドリルの穴を売れ」
という言葉がある。

まさに、顧客に価値、幸せを売るのだ。

交渉できない顧客に一発勝負!

また、ジャパネットたかたは、価格を最初に発表することはまずしない。
十分に商品の価値を説明し、理解いただいた時点で、顧客が勝手に値段を想像するのだ。

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葛西 伸一

株式会社メンター・クラフト 代表取締役社長

http://www.mentor-craft.co.jp/ http://www.mba-noryoku.com/ 大学卒業後、大手エレクトロニクス商社に勤務。その後、IT業界、映像コンテンツ業界と15年間の営業・企画・マネージャー等の経験を経て、 2007年4月に(株)メンター・クラフト設立。 豪州ボンド大学大学院 MBA(経営学修士) エグゼクティブ・コーチ(JIPCC認定) 日本コーチ協会正会員

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