事業目的の目線が「数値」にあるか「在り方」にあるか

画像: Career Portrait Consulting

2022.05.16

経営・マネジメント

事業目的の目線が「数値」にあるか「在り方」にあるか

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

市場参入企業の多くは事業目的の目線を「在り方」に向けるのではなく、「シェア数値の獲得」や「技術の差異化」といった相対的競争に向けます。すなわち既存の枠組みの中で「優秀者」を目指そうとするのです。しかし、常にレッドオーシャン上に船を浮かべねばなりませんし、コモデティ化の流れにもさらされます。VUCAの時代の事業目的の目線をどこに置くべきかを考えます。

もちろん、我が社は量的拡大こそ事業目的という経営があってもいっこうにかまわないわけですが、その思想のもとでよき人材が保持できるか、組織が内発的に躍動していけるか、顧客や社会の共感を得られるか、結果的に事業継続できるのか、などの課題にきっちり答えを持たねばならないでしょう。

VUCAの時代の到来で、科学的合理性や論理を単線的に突き詰めれば唯一無二の正解値にたどり着くということはなくなりました。それぞれが自己にとっての最適解をつくり出さねばならない時代です。その最適解は、おそらく意味や目的、概念、在り方といった次元に踏み込まなければみえてこないものでしょう。

私自身、製造業出身であり、日本(人)のものづくりの優秀さを十分に知っています。しかし、その長所が逆にあだとなり、みずからを「技術/処し方/form」の次元に拘泥させることになりました。そのため特にグローバル市場では、製品スペックでは勝っているのに事業で負けるというようなことが起こるようになりました。

日本のものづくりの力が真に報われるためには、事業目的の目線を上げ、大きな概念・在り方のもとに、大きく技術を使うことだと思います。振り返ってみれば、茶道にせよ、枯山水の庭園にせよ、日本人は内に高度な抽象概念を広げ、外に作法や造形として表すことを見事にやってのける能力を持っています。きめ細かに、ていねいに技術を駆使する日本人が、新たな枠組みをつくるような概念構想力を磨けば、まさに「鬼に金棒」、強い事業を打ち立てるチャンスは十分にあると思います。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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