モノが買えない時代-その1-

2022.04.13

経営・マネジメント

モノが買えない時代-その1-

野町 直弘
調達購買コンサルタント

これまでの時代が変わり、今までの前提が通用しない「モノが買えない時代」になりました。そのため、あらゆる資材原材料の高騰や、価格高騰だけでなく、サプライヤの供給力不足で悩まさられる構造変化が起きています。 1.高すぎる 2.運べない 3.売る気がない という、構造的な変化が起きているのです。 我々はこの構造変化にどう対応すべきでしょうか。

先日、某自動車ディーラーの営業の方が悲鳴を上げていました。「今新車を契約しても納車まで、1年半~2年かかる」とのこと。半導体不足が原因とのことです。ただ、考えてみると、それだけ待たされても、契約してもらえるだけの製品力がある証拠であり、それはそれで凄いことだな、と感じる次第でした。
このような状況は、あらゆる資材、原材料で同様の状況であり、昨年、購買ネットワーク会で、製造業の購買部長さんが、おっしゃっていましたが、時代が変わり、これまでの前提が通用しない「モノが買えない時代」になったとのことです。

1.高すぎる 2.運べない 3.売る気がない

という、構造的な変化が起きているのです。


昨年の今頃からでしょうか。この傾向はあらゆる資材に関して、続いています。原油関連市況の高騰によるガソリンや石化製品は高止まりの状況が続いており、ウッドショックやメタルショックなどの言葉に代表される、市況の高騰も続いているのです。

今般の素原材料価格の高騰は、上昇ペースが速く、範囲も広いのが特徴でしょう。何度も起こっている原油高騰と共に、鉄鋼、非鉄、木材、穀物価格、運賃、食品などの価格高騰が同時におこっています。

また、これらの価格高騰の理由が様々な要因が絡み合っていることも、先行きが見えない大きな理由となっているのです。値段が上がるだけなら、まだましでしょう。モノが買えない時代に、なりつつあるのです。これは、短期的な事象ではなく、構造的な事象であります。

2020年の夏頃に、私は「ウイズコロナの調達改革」というタイトルで、講演をしました。コロナは生産・調達拠点など、事業が、ある特定の地域へ集中することのリスクが明らかになったのです。その結果、今後、企業は、事業ポートフォリオの再構築をより一層進める方向に進む、と私は予測しています。

一地域や一事業に依存した、事業ポートフォリオですと、その特定の地域や事業が、何らかの事案でストップしてしまった場合、他の事業で穴埋めすることができないからです。

今後、事業ポートフォリオの再構築の方向としては、いわゆる「金のなる木」である、グローバルで競争する事業・製品(拠点は分散化)か、「花形事業」である、地産地消型の複数のローカル事業・製品をバランスさせた、ポートフォリオを持つ、双方向と考えられるでしょう。

これによって、どこかの地域や、事業が、何からの事案でストップしても、それによって受ける損害を、他の地域や事業でカバーすることができるようになります。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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