【インサイトナウ編集長対談】シニア世代は本当に元気。民間企業のやることは元気な人を楽しませること

2022.04.01

経営・マネジメント

【インサイトナウ編集長対談】シニア世代は本当に元気。民間企業のやることは元気な人を楽しませること

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

NPO法人「老いの工学研究所」で高齢社会に関する研究活動を続けながら、企業にシニアマーケットに関するコンサルティング、研修・セミナーなどを提供されている川口さん。これから超高齢化社会を迎える日本にとって、必要な視点についてお話をうかがいました。(聞き手:猪口真)

お相手:川口 雅裕様
NPO法人・老いの工学研究所 理事長

現在の高齢者はとても元気。先入観をまずなくす

猪口 NPO法人「老いの工学研究所」では、どのような活動をされているのですか。

川口 シニア向けサービスの開発やプロジェクトの支援です。立場は相手企業によって違いますが、アドバイザーやファシリテーターの立場で入っています。最近は定年延長で悩んでいる会社が多いので、そのテーマで研修やセミナーも行っています。

そういった仕事をするためには、ベースとして、勉強や研究が必要になります。具体的には、大阪大学神戸大学と一緒にシニア向けの共同研究をしています。簡単に言うと、高齢者の健康や幸福は、どうすれば維持できたり、向上したりするかがテーマです。交流やつながりが高齢者の健康幸福感にどう影響しているかなど、医療とは違う切り口です。

猪口 最近、コミュニティにどれだけ参加しているかで、幸福度や心身の健康が大きく違うとよく言われています。今は一人暮らしの高齢者が増えているのですが、家族との会話がなかったり、出かけるのがおっくうになったりすると、健康や幸福感に影響があるのでしょうか。

川口 ひと言では言えない複雑さがありますね。今から33年前の1989年は、高齢者がいる世帯の45%が三世代同居でした。子どもや孫と一緒に住む人が45%いたわけです。今は9%です。たしかに、高齢者だけで住んでいる世帯が如実に増えているのですが、一方で、高齢者はすごく健康になっています。今の高齢者は格好良い方が多いですよね。実際に、歩くスピードや片足で何秒立てるかといった体力測定をすると、この30年で10歳くらい若返っています。今の75歳は、30年前の65歳ぐらいの体力があるわけです。どんどん孤独になっているのに、なぜ健康になっているのか。面白いですよね。

僕の仮説では、三世代で同居すると、買い物も料理もしてくれるし、何でもしてもらえますよね。ところが今は高齢者だけになっているので、全部自分でやるわけです。だから健康になっているという面もあると思います。それと、三世代同居をしていると、毎日「おじいちゃん」「おばあちゃん」と言われ続けることで、自分はおじいちゃん、おばあちゃんだなと自覚してしまいますが、高齢者だけが住んでいると言われません。それで、年を取ったという自覚を持ちにくいのではないでしょうか。三世代同居が減っているとネガティブに考えられがちですが、実は、生活面でも意識面でも若いままいられて、健康面でも良いのではないかと考えています。幸福や健康は単純に割り切れるものではなく、様々な要素がからみあって生まれています。複雑なものなのです。

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