仕事の「自分ごと化」と「意識の視界」

2020.11.20

組織・人材

仕事の「自分ごと化」と「意識の視界」

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

事業組織にとって「優れた人材」とはどんな人材でしょうか。その分野の知識やスキルを保持した人でしょうか。知識やスキルを十分に保持していても、仕事を「自分ごと」にできず、「意識の視野」が狭く・暗くなっている場合が起こりえます。ジョブ型雇用の拡大や、リモートワークによる業務の分断が進めば進むほど、個々が自分の仕事をとらえる「意識の視界」具合は見逃せない観点になってきます。

「意識の目」が見る範囲――ここではそれを「意識の視界(スコープ)」と呼びます――には下図の4つの要素があります。すなわち、[1]業務そのもの、[2]業務の周辺にある副次的なもの、[3]顧客への目線、[4]経営への目線です。


職場には、担当業務を自分の都合だけで見る人、言い換えると、与えられた仕事を及第点でクリアすることしか考えない人がいます。つまり全体観や周囲への配慮、仕事を通じての探求心といったものが欠けている仕事態度です。仕事とは金を得るための労役であり、自分が起こす労働や時間は最低限で済ませたいという心持ちがそうさせるのでしょう。こうした人の「意識の視界(スコープ)」は、とても狭く暗くなっています。


それとは逆に、意識の視界が広く明るい人もいます。業務そのものをしっかり見つめることはもちろん、前工程・後工程の人に気配りをし、上司や部下・メンバーに対して目配りもする。たとえ自分がじかに顧客に接していなくても、自分の業務の質がどう末端の顧客に影響を与えるかがイメージできる。また、自分が判断・行動するときに、経営側の意思・方針とどう整合性があるのか、ないのかを考える。


こうした「意識の視界」差は能力や性格の差によって生じるというより、仕事を「自分ごと」にしているか、していないかの差によるものです。

ジョブ型雇用・リモートワークによる業務の分断が進むほど「意識の視界」が重要

事業組織にとって「優れた人材」とはどんな人材でしょうか。その分野の知識やスキルを保持した人でしょうか。知識やスキルを十分に保持していても、仕事を「自分ごと」にできず、「意識の視野」が狭く・暗くなっている場合が起こりえます。

能力の発揮は、意識の醸成と不可分です。あらためて言わずもがなですが、人材育成において重要なことは、知識やスキル習得よりも一段下にある「意識の醸成」層に目を向け、手を下すことです。ジョブ型雇用の拡大や、リモートワークによる業務の分断が進めば進むほど、個々が自分の仕事をとらえる「意識の視界」具合は見逃せない観点になってきます。


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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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