「中堅社員の小粒化」は、問題の設定が間違っている。

画像: studio tdes

2020.09.12

組織・人材

「中堅社員の小粒化」は、問題の設定が間違っている。

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長 /一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

リクルートの「管理職層が考える組織課題」に関する調査結果から、考えた。

リクルートマネジメントソリューションズが8月に発表した、「管理職層が考える組織課題」に関する調査がある。事業本部長、部長、課長級の管理職層を対象に、会社の組織課題について聞いたものだ。それによると、会社の組織的課題として最も多くあがったのが「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」で69%、次いで「中堅社員が小粒化している」(68%)、「次世代の経営を担う人材が育っていない」(67%)となっている。いずれも7割程度にのぼっており、現在、企業が抱えている3つの組織課題ということになる。

これを見ると、企業組織には大変にいびつな状況が生まれていると思わざるを得ない。

まず、1位になった「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」とは、回答した管理職、自分たちの負担が過重だと言っているのと同じである。いろいろな役割、業務が自分たち中間管理職に集まってきていて大変だ。昔の管理職に比べると、今の管理職は割に合わない。中間管理職に対する期待は、自分のキャパシティーを超えている。経営陣や若い社員たちに比べて、中間管理職の業務はキツすぎる。そんなところだろう。

次の「中堅社員が小粒化している」では、“中堅”というのが明確ではないのだが、回答者したのが管理職層だからその下のマネジャー昇進前、大企業では30歳代中盤か後半あたりのことを指していると思う。“小粒化”の意味もあいまいだが、昔と比べて枠を出ない、大人しい、挑戦しない、従順だ、内向きだ、といったイメージだろうか。いずれにしても、管理職の約7割がすぐ下の世代の部下たちをこのように評価し、物足りなく思っているということだ。

この二つを重ねて読めば、次のようになる。「自分は過重な負担を強いられているのに、すぐ下の部下は小粒で役に立たない。」「自分たちやその先輩たちは“大粒”だったが、若い世代は“小粒”である。」「若い世代の小粒化が原因で、自分たちにはキャパシティーを超えるほどの役割が求められてしまっている。」しかし、これに同意する中堅社員はほとんどいないはずだ。中堅社員は、“小粒”な振る舞いをさせられている状況を指摘して反論するし、“小粒化”している根本的な理由が見えている者もいるだろう。そこには、管理職層と中堅社員層の階層対立、世代間対立が見えてくる。

さて、3つ目の「次世代の経営を担う人材が育っていない」は、回答した管理職層の自己評価である。そして、自分たち事業本部長、部長、課長クラスの中に、次代の経営を担えるような人材がなかなか見当たらないと、約7割が思っている。これを簡単に言ってしまえば『幹部・管理職層の小粒化』だ。中堅社員の小粒化を指摘しながら、自分たちも小粒化していると言っているわけである。上司が“小粒化”していけば、当然の成り行きとして、部下も“小粒化”していくという見方もできるだろう。

この調査から分かるのは、(定義づけせずに言うのはやや憚られるが)会社全体で“小粒化”が進行していること。そして、それが階層や世代の間に軋轢を生んでいる可能性があるということである。そう考えると、会社組織における問題解決の鍵は「小粒化が進行する理由」の明確化と、その排除・修正ということになる。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長 /一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革・健康経営など)や、高齢者・高齢社会をテーマとした講演を行っています。

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