「キャッシュレス・ポイント還元事業」が終了。 なぜか日本ではキャッシュレスが進まない

2020.07.23

営業・マーケティング

「キャッシュレス・ポイント還元事業」が終了。 なぜか日本ではキャッシュレスが進まない

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

消費税の増税にともなって、需要喚起対策として、ド派手に打ち出された「キャッシュレス・ポイント還元事業」が6月30日に終わった。そこで、経産省は、事業開始前(2019年9月)と事業期間中(2019年11月、2020年5月)に実施した消費者及び店舗向けアンケートの調査結果を公表した。

消費税の増税にともなって、需要喚起対策として、ド派手に打ち出された「キャッシュレス・ポイント還元事業」が6月30日に終わった。そこで、経産省は、事業開始前(2019年9月)と事業期間中(2019年11月、2020年5月)に実施した消費者及び店舗向けアンケートの調査結果を公表した。

消費者の立場からすれば、キャッシュレスにするだけで、還元されるのだから使わない手はないのだが、国は7353億円を投じたと言われる「ポイント還元制度」。果たして、実際はどうだったのだろうか。

店舗側からすれば、キャッシュレス決済を導入することで、新しい顧客の開拓や、単価アップにつながると考え、バカにならない手数料を払いながら頑張ってきた。

ところが、コロナが直撃した。緊急事態宣言が出され、キャッシュだろうがキャッシュレスだろうが、買い物自体できなくなってしまった。

その証拠に、総務省が7月7日に発表した2020年5月の2人以上世帯の家計調査によると、消費支出は前年同月比16.2%減と大幅に落ち込んだという。4月も前年対比で11.1%だったというから、5月はさらに悪化したことになった。

出かけることがないのだから、衣服、ファッション関係が38.3%減、ほとんどの学校が休校だったため、教育サービス、書籍などが37.9%減、住居関連の支出が26.0%減、交通・通信関係が22.4%減など、大きな落ち込みとなった。

ただし、特別定額給付金によって、2人以上の勤労者世帯の収入は、5月に9.8%増と急増したという。5月の中旬には、緊急事態宣言は解除され、収入も増加したものの、消費にはまったく結びついていないという結果になった。

ECは順調だと言われることもあるが、全体の消費が減少しているのだから、伸びはたいしたことはない。

総務省によると、「ネットショッピングの支出額」(家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について『2⼈以上世帯』)は、2020年4月で1万4622円だったが、2019年の約1万7000円と比較しても、むしろ減少となっている。

2018年から2019年にかけては、かなりECによる売り上げは増加したが、2020年にかけては、コロナによる巣ごもり消費の増加を見ることはむしろ難しい。全体の消費が減少している分、EC率が上がっているというのが正確な現状か。

「キャッシュレス・ポイント還元事業」が6月30日に終わったが、実際に、店舗側としては、どう感じているのだろうか。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

猪口 真

株式会社パトス 代表取締役

すべてのナレッジワーカーがコンテンツを考え、発信する時代です。あなた(会社)のコンテンツをともに考えましょう。

フォロー フォローして猪口 真の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。