国運の分岐点を読んで

2019.10.30

経営・マネジメント

国運の分岐点を読んで

野町 直弘
調達購買コンサルタント

デービッド・アトキンソン氏の「国運の分岐点」を読みました。アトキンソン氏の日本は今後産業構造の転換が求められており、それは従来の産業間の構造変革ではなく、企業規模の構造変革だと言っています。とても興味深い視点なのでここで紹介していきます。

このように、最低賃金引き上げを経済政策として捉えること自体は間違いないでしょうが、これだけで中小企業の統合が進み労働生産性が高まり、しいては国全体の生産性が上がるという点については、疑問を持たざるを得ません。

一方で、今までの人口増加時代の名残りである、1965年に制定された中小企業基本法による中小企業の保護の見直しについては積極的に推進する必要があるでしょう。
アトキンソン氏の主張は産業構造の変革を起こすべき、ということです。具体的には企業規模の構造を変革し、中小企業を減らし、(大企業に)統合することで生産性を高くするというものです。

一方で従来の産業構造の変革は、生産性の低い産業から生産性の高い産業へ構造変革をすることで、国全体の生産性を上げていくというものでした。

そういう面から、アトキンソン氏の指摘は新しい印象を受けます。確かに成長するモチベーションがない中小企業は多いです。また現状の税制なども昔ながらの中小企業を優遇するようなものになっています。一方、ベンチャー企業が成長を目指す事に対してはあまり優遇されているとは言い難いでしょう。

そう考えると中小企業を統合するための仕組みや仕掛けだけでなく、中小企業が成長することに対するインセンティブ制度も効果的な政策と言えます。いずれにせよ、賃上げと産業構造の変革(企業規模、業種両面)が必要になっていると言えます。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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