利下げに走る豪準備銀行、インド中銀!

2019.06.12

経営・マネジメント

利下げに走る豪準備銀行、インド中銀!

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世界中が注視する米中貿易通商交渉の行方が不透明ということで、世界経済には暗い影を与えています。 「中国、米国が風邪をひけば、グローバル経済が肺炎を起こす」という表現が当てはまるのではないでしょうか。そんな中で、6月に入り豪準備銀行(RBA)とインド中央銀行が相次いで政策金利の引き上げに踏み切りました。特に中国との貿易関係が深いオーストラリアを中心に解説したいと思います。

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政策金利

この動きに反応したRBAは、今回政策金利(キャッシュレート)を現行の1.50%から0.25%引き下げ1.25%としました。
ロウRBA総裁は、所得の伸びの鈍さと住宅価格下落による家計消費の見通しの弱さが豪経済のネックとなっていると指摘し、利下げにより失業率の低下を促し、インフレ目標の達成につながると述べました。
またいつものように、オーストラリア・ドルの下落は豪経済の成長につながるとして、中央銀行総裁としての通貨安の見解を示しています。
下記グラフ(出所:ウォールストリートジャーナル紙)は、RBA政策金利と米FRB(米連邦準備理事会)の政策金利(フェッド・ファンド・レート上限金利)の両方を対比したもので、2000年からの推移を示しています。
RBAは高金利通貨として2000年以降投資家には注目されていたことが如実に理解できるグラフです。薄茶色線(RBA)の政策金利が、緑線(FRB)を大きく上回っています。そして2016年からはFRBが利上げに転じ、2018年からは逆転しました。
グラフの赤丸部分参照いただきますと、高金利通貨としての豪ドル投資の魅力が薄れ米国に資金回帰していることが分かります。現在豪連邦債10年金利:1.45%と、米国債10年:2.08%と、魅力が薄れていると言えるのではないでしょうか。そんなことを反映した最近の豪ドル/米ドル(直近0.6970)の動きではないかと思います。

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RBAとしては、FRBとの金利差があり、また米中通商交渉の行方が不透明であることから、豪経済が悪化する警戒を緩めることはありません。その結果、現在の政策金利1.25%を更に引き下げるのではないかという見解が市場関係者の間では一致しています。豪経済が急速に明るくなる材料に乏しい中、まだまだ緩和路線を続ける、つまり利下げを続けるのではと筆者は考えています。

インド中銀の利下げ

また手短にインド中銀の利下げについても解説しておきますと、先週政策金利を0.25%引き下げ5.75%としました。
新興国の一つであるインドは高い経済成長を続けていたのですが、ここに来てやはり米中通商摩擦の影響を受けました。サプライチェーンの役割を担っているようで景気減速が鮮明になって、今年第1四半期GDP:5.8%と、5年ぶりの低成長です。
中国の6%前半の成長と対比すると参考になります。
米国が利下げ観測、欧州(ECB)も利上げ延長の強力緩和路線維持、そして日本も低金利政策維持と、世界中に金融緩和路線が蔓延し始めています。
インドはハイテクIT産業の成長により所得が伸び、自動車の購入需要が増えていますが、減速傾向の予兆も出始めました。新興国の一角が崩れるようですと世界経済に与えるインパクトは大きいので、新興国株式市場への積極的投資には少し慎重になる必要があります。
少なくとも米中関係が今後通商・安全保障上の問題を含めて、落とし所を模索する方向になるまでは、注意を払うべきだと思います。

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