小規模事業者のための「バランススコアカード」変則活用法

2019.05.25

経営・マネジメント

小規模事業者のための「バランススコアカード」変則活用法

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

バランススコアカードは、多くの企業から「うまく使いこなせない」という話を聞くことが多い。特に中小~小規模企業にとっては、難しいと聞くが、優れたフレームだけに、いい方法はないものだろうか。

給与から始まるBSC

バランススコアカードは、かなり古い印象があるとはいえ、今でも十分に活用でき、また多くのファンを持つフレームだ。

しかし、多くの企業から「うまく使いこなせない」という話を聞くことが多い。特に中小~小規模企業にとっては、財務から個人に落とし込まれるまでのプロセスが短く、全体のマップとして俯瞰するまでもないことが多いのかもしれない。

組織のファンクションが分割され、それぞれの役割が明確な組織においては、現在の状況分析から、将来あるべき全体の戦略マップを描くには非常に分かりやすいモデルだ。

しかし、ここにも落とし穴がある。バランススコアカードは極めてシンプルで分かりやすいモデルであるゆえに、あまりも包括すぎていて、すべての部門、組織機能に対して変革的なアクションを求めることになる。

全体がつながっているのだから当然の話なのだが、そもそも、バランススコアカードの4つのすべての視点に対してイノベーションやシステム・プロセス変更の意思決定できるのは、経営トップぐらいしかできないだろう。出来上がった組織なら、経営トップすらままならない。

何人かの経営幹部によって建設的なディスカッションができ、そのメンバー(幹部クラス)がリスクを背負う覚悟がある組織ならいいが、多くの企業では、その両方とも難しい。

なので、本来バランススコアカード(BSC)は、一人(多くても数人)で会社の戦略やプロセスを変更する意思決定ができる組織のほうが活用しやすい。

ただし、小さな組織でBSCを使ったプランニングを経験した人なら感じたことがあると思うが、財務→顧客→プロセス→個人と、落ちていくプロセスには、むず痒いものを感じる。

まず、すべての経営者が売上規模の拡大を望んでいるわけではない。小規模事業者にとってまず重視するのは「利益」と「キャッシュ」であって「売上」はあとで考えるべきものだ。(なかには、売上は関係ないという人もいるが、顧客が受け取るのは製品・サービス全体であって、通常それは売上で測られる)

売上だけを追ってしまうと、余計なキャッシュフローの心配とリスクが増えるだけで、多くの場合はほとんどメリットない。

さらに、従来であれば、その利益目標から、顧客貢献、そしてそれを実現する「業務プロセス」へと落ちていくわけだが、小規模事業者がそれをやったところで、絵にかいた餅にしかならないことが多い。

そもそも小規模事業者にできることは限られている。

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