いま世界中の観光地が直面する「オーバーツーリズム」の危機《Part.2》

2019.03.25

ライフ・ソーシャル

いま世界中の観光地が直面する「オーバーツーリズム」の危機《Part.2》

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世界的な「旅ブーム」が拡大する近年、インバウンドが急増する国内外の観光地では、増えすぎた観光客によってさまざまな弊害が生じる「オーバーツーリズム」問題が深刻化している。 前回の「いま世界中の観光地が直面するオーバーツーリズムの危機《Part.1》」では、オーバーツーリズムの危機的状況に瀕する海外の人気観光地の事例を取り上げたが、もはやこれは対岸の火事ではない。 今回の《Part2.》では、日本の観光地にも広がりつつあるオーバーツーリズム問題の事例とともに、持続可能な観光産業のあり方について考察する。

インバウンド需要の急増に沸き立つ日本

ここ最近、メディアでも報じられているように、日本を訪れる外国人観光客は年々増加しており、2018年には過去最高となる3119万人を記録。東日本大震災で一時落ち込んだ2011年以降、この7年で約5倍にまで拡大した。また、インバウンドによる旅行消費額も過去最高の4兆5064億円に達し、この7年で約5.5倍と大きな伸びを見せている(グラフ参照)。
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このままのペースで訪日客が増えれば、政府が目標に掲げる「2020年に4000万人」を達成し、インバウンド消費額も年間6兆円にまで拡大すると期待されている。

訪日客の増加に対応を迫られる国内の人気観光地

しかし、年々拡大するインバウンド消費が地域経済をうるおす一方で、訪日客の増加によるゴミ問題や地元住民とのトラブル、地域交通への支障・事故など、さまざまなオーバーツーリズム問題が浮上。こうした事態を受けて、地元の商店街や企業、自治体や警察が対策に乗り出した地域もある。

【京都府・錦市場】
京都の台所として知られる錦市場では、訪日客が急増した2~3年前から、店で買った食べ物を歩きながら食べる「歩き食べ(歩き食い)」によるゴミの散乱や、持った食べ物で店の商品が汚されるなどのトラブルが多発。京都錦市場商店街振興組合は2018年秋から、英・中・韓・日の4ヵ国語で歩き食べを自粛要請する立て看板を設置し、各店にもゴミ箱の増設や飲食スペースの開設を呼びかけている。
この問題は、全国各地の商店街や中華街などでも深刻化しており、街側ではその対策に頭を悩ませているようだ。

【神奈川県鎌倉市】
由緒ある神社仏閣が点在する鎌倉市には、市民約17万人に対して、その125倍近い年間約2129万人の観光客が訪れる。とくに観光客が増える休日には、鎌倉駅や近隣駅の構内に人があふれ、地元住民も電車になかなか乗れないという事態がたびたび発生していた。
そこで地元の江ノ島電鉄では、2018年のゴールデンウィーク中に鎌倉駅西改札で入場規制を行い、事前に通行証を配布した地元住民は、優先的に改札を通れるという社会実験を実施。当日、改札に並ぶ観光客に市がアンケート調査を行ったところ、約8割が住民優先に理解を示しており、市は「今後も効果を検証しながら、事業者と協議を続けたい」としている。

【北海道】
人気観光スポットが点在する北海道も、訪日客の急増に対応を迫られている。道内での外国人向けレンタカーの貸し出し件数は2017年に8万台強となり、この5年で約5倍に増加。土地に不慣れな外国人ドライバーの交通事故が多発し、外国人のレンタカー運転中の死亡事故は、日本人利用者の4倍にものぼるという。北海道警察は「STOP」と併記した一時停止の標識を、空港や観光スポットの周辺で約400本設置するなど、自治体と協力して事故防止への対策を急いでいる。

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