セブンイレブンに感じた現場力

2008.02.29

経営・マネジメント

セブンイレブンに感じた現場力

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

北海道や東北の一部では、 冬場にコンビニで「おにぎり」を買うと、 「おにぎりあたためますか?」 と店員に聞かれることがあるそうです。 コンビニのおにぎりは保冷されていますし、 寒い地域なので 「あたためて食べたい」 というニーズが多かったんでしょう。

自然に広まった慣行みたいですね。

ちなみに北海道テレビでは、

「おにぎりあたためますか」

というバラエティ番組がずいぶん前から制作・放送されてます。

東北以南の地域のコンビニでは、
どの程度この慣行が広まっているかよくわかりませんが、
少なくとも東京近辺では、

「おにぎりあたためますか?」

と聞かれることはありませんよね。

さて、先日の寒い夜、
セブンイレブンで久しぶりにおにぎりを2個買いました。

あたたかいおにぎりが食べたかったのですが、
当然ながら、店員さんは

「おにぎりあたためますか?」

とは聞いてくれません。

そこで、

「おにぎりをちょっとあたためてもらえますか?」

と私からお願いしました。

すると、店員さんは、
おにぎりをわざわざ1個ずつ別の電子レンジに
入れてタイマーをセットしてました。

私は、

「2個一緒に暖めれば手間が省けるのに・・・」

と不思議に思って、
レジのお兄さんに聞いてみたんですね。

するとお兄さんは、

「以前2個一緒にあたためたら店長に怒られたんですよ。
 1個ずつ別々にあたためるように言われてます。
 どうしてなのかわかりませんが・・・」

と返してきました。

‘どうしてなのかわかりませんが’
という一言は余計ですね。言わなくてもよろしい。

しかし、さすがセブンイレブンです。

おそらく、おにぎりを複数個一緒にレンジで
チンすると、

「あたためムラ」

ができるためだと思われますが、果たして、
セブンイレブン以外のコンビニチェーンで
こうした細かいオペレーションを徹底できるだろうか?
と、ふと感じました。

コンビニの日本1号店は、

セブンイレブンの豊洲店

だったというのは有名ですよね。

セブンイレブンは、

「コンビニエンスストア」

という新業態における先駆者であるわけです。

そして74年の1号店開店以来、
多くの追随企業の参入によって競合が激化する中、
現在に至るまで、ダントツの業績を残してきています。

セブンイレブンの高い業績の秘密は、
言うまでもなく「戦略の巧さ」ではありません。

各店舗の日々のきめ細かいオペレーション(戦術)、
すなわち

「現場力」

が強いからなのです。

コンビニ業界に詳しい方によれば、
競合他社と比較して、明らかに店舗の清掃の徹底度合いや
店員の接客水準の高さは群を抜いているそうです。

もちろん、セブンイレブンの店内に流れる、
一言では説明しにくい「心地よさ」は、
一消費者でも容易に感じることができますよね。
(他のチェーンも悪くはないのですけど)

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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