新しいパワーゲームの始まり

2018.12.27

経営・マネジメント

新しいパワーゲームの始まり

野町 直弘
株式会社クニエ プリンシパル

従来のパワー購買が終焉し新しいサプライヤによるパワーゲームが始まりつつあります。

新しいパワーゲームがどこから始まるかと言うと、従来パワー購買をやってきた企業から始まります。そういう企業が真っ先にサプライヤから受注辞退されるのです。何故ならサプライヤの営業は社内から値上げをしろと毎日プレッシャーを受けており、それに対する説明責任を負っているからです。
理屈が通らない安値や市場メカニズムに合わない無理なコストカットをしているパワー購買企業に対してはサプライヤの社内的にも容認されにくくなります。そして真っ先に選択受注や受注辞退のターゲットになってしまうのです。

それでは値上げを受け入れサプライヤが言う適正価格で買えばよいのではないかということですが、ここで一つ疑問が生じるでしょう。そもそも適正価格って何なのか、と。またコスト削減活動って何なのか、と。その意味を今一度考えてみましょう。

まずは適正価格です。
適正価格って何でしょうか。精緻に原価計算ができたとします。
しかし、限界利益が出ていればよい、というコストレベルと固定費も含めて利益が出ているレベルでは同じものを買うにしても価格は大きく異なります。またもし精緻な原価計算で妥当なコストを計算できたとしても、これでは掛かったコスト以下までコスト削減を進めることは難しくなります。

それではベンチマーク価格とか業界最安値という考え方はどうでしょうか。こんなものはマーケットメカニズムの結果なので全てのサプライヤにとって妥当なコストもちろん言えません。

企業にとってベンチマーク価格を目指すような活動とは無駄なでしょうか。つまり企業はコスト削減をしなくてよいのでしょうか。そんなことはありません。日本企業の強みの一つは作り込みによるコスト削減能力です。日々コスト削減活動を推進することで今のコスト競争力が実現できています。

ですからコスト削減はしなければならない。これはバイヤー企業にとってということでなく全ての企業や日本の社会全体でも同じことが言えます。これを忘れてはいけません。

一方で、パワー購買で実現した、バイヤー企業の独り勝ちコスト削減は限界がありますしもうそういう交渉自体成り立ちません。そのため各企業は開発購買や仕様変更、標準化を進めようとするのです。

最後に私が尊敬するコンサルタントが以前おっしゃった言葉を皆さんにご紹介します。

「コスト低減は誰のためにやっているのでしょうか?
何を隠そう取引先のためにやっているんです。結果的にはもちろん自社のためにもなりますが、コストを下げるということは相手の会社の幸せのためにやっているのです。どうすれば継続的に原価低減が出来るのか。悩みながらも取り組んだ活動により、原価低減が出来る体質が構築されれば、取引先はどんな状況でも利益が出せる企業になれるのです。それにも関わらず、取引先のコストダウンは習慣になっていません。言われてからコストを下げるのではなく、下げる知恵がないのなら我々が教え、一緒に悩みどんな状況でも勝ち残れる体質をつくっていかなければいけません。」

「取引先は我々に対して何を求めているのでしょうか?
仕事の継続受注?利益貢献?これは表面的なものではないでしょうか。本質的には1.当社が勝ち組として君臨して欲しい2.自分たちの体質強化に当社のノウハウを教えて欲しい。取引先の経営者はそう熱望しているはずです。」

それでは良い年をお迎えください。
来年もよろしくお願い申し上げます。

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野町 直弘

株式会社クニエ プリンシパル

NTTデータグループのコンサルティング会社である株式会社クニエの調達購買改革コンサルタント。 調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの元代表。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。

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