Brexitの行方と投資におけるリスク

2018.11.28

経営・マネジメント

Brexitの行方と投資におけるリスク

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Brexit、つまり英国のEU(欧州連合)からの経済的離脱について、英国内で暗雲が漂い始めています。 英国は、来年3月29日がEUから離脱する期限となっており、その前に、離脱条件に「合意あり」なのか「合意なし」なのかを判断する期日が来年1月21日に迫ってきています。 今回は、そんなBrexitの現状とそれが与える影響を考察していきましょう。

さらに、これからのスケジュールでは今月25日の臨時EUサミットに注目が集まります。

19日に行われた外相らEU担当閣僚による総務理事会の臨時会合では、英離脱協定が報告され、バルニエEU主席交渉官は「全27ヵ国の閣僚から支援が得られた」として、EUは離脱の再交渉には応じない姿勢を示しています。
つまり、25日の臨時EUサミットの首脳会議の場では、英国の混乱をよそに、修正案には応じないことで纏まるのではないかと推測されます。

その後は、英国サイドの日程にBrexitはゆだねられ、12月中には英議会で離脱協定案の採決をします。
ここでBrexitが了承されれば、来年1月中の関連法案採決を経て、3月29日に「合意あり」として英国のEU離脱が決定となります。
しかし、12月中予定の英議会で否決されると、一気に、EUに再交渉要請、2度目の国民投票、メイ首相の退陣、総選挙のという方向に進むと思われます。

国境問題以外の重要な観点

ここで、「合意あり」として事態が進行した場合のアイルランド国境問題以外の重要事項の確認をしましょう。

金融サービス事項では、英金融規制がEUと同程度か判断する「同等性評価」を2020年までに終えるとしています。
しかし、同等性評価の文言は、現状より英国に不利になることは避けられないという見通しだと言われています。
そのため、英国に欧州拠点に設け、これまで欧州全体を支店を設けていた金融機関は、相当数が大陸にある、つまりEU内のフランクフルト、ルクセンブルグ、パリなどに営業拠点を設ける動きが続いているのです。これに関しては、日系の金融機関も追随する動きにあるようです。

製造業の中でも、Brexitの動きに対応するような流れがあります。
例えば、これまで製品の部品をEU域内で生産し、英国で組み立てるという形式をとっていた製造業者は、「合意なし」の離脱になると、個別にこれまでより高い関税を各国ごとに協議して設定するといった複雑な手続きをすることになります。
そのため、高い関税に加えてコスト高の製品となり、価格競争力で劣った英国製品となると推察されます。
これに関しては、今後様々な弊害が出てくることが容易に予想できます。

金融市場への影響

Brexitが金融市場にはどのように影響しているのか、BOE(イングランド銀行)の動き、そして債券と為替の動きを検証してみましょう。

BOEは今年8月、政策金利を0.25%引き上げ0.75%としました。資産購入プログラムも4350億ポンド購入と、資金供給策は継続しているようです。
また、10月の消費者物価指数は2.4%と、BOEのインフレ目標2.0%を上回っており、このまま利上げスタンスを継続していきたいところです。

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