飼い主の高齢化でペット減少するも、堅実に拡大し続ける「ペットビジネス」

2018.11.09

ライフ・ソーシャル

飼い主の高齢化でペット減少するも、堅実に拡大し続ける「ペットビジネス」

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ペットブームが続いている。 街を歩けば実に多くの犬を連れて散歩している人とすれ違い、裏路地には猫がのんびり昼寝をしている風景によく出会う。猫がまったり街中を闊歩する姿は平和の象徴のようにも見えるが、そのペット周辺には、さまざまなビジネスが繰り広げられている。 日本では犬・猫ともに1000万頭近くがペットとして飼育されているといわれ、ペットフードやペットサロン、動物病院などに代表されるペットビジネスもその規模を安定的に拡大している。 今回は日本のペット事情をひも解き、それに伴うペットビジネスの現状について探ってみよう。

ペットとの共生は紀元前から

人類が動物を飼う習慣は、古くから存在していたようだ。犬が家畜となったのは1万5000年前ごろとされている。イスラエルでは、人間と犬が一緒に埋葬された1万2000年前の遺跡が発掘されている。
一方、猫が家畜化されたのは、穀物を栽培するようになってから。穀物を食い荒らすネズミの退治用に猫が飼われ出したと考えられる。エジプトで発見された紀元前4000年の遺跡で、猫の骨が発掘されている。

日本で、人が犬と一緒に生活するようになったのは、やはり1万年以上前のことで、縄文時代とされている。『日本書紀』にも、神として犬が登場するシーンがある。

猫が登場するのはやや遅れて、奈良時代とされる。中国から仏教の経典などが日本に持ち込まれるようになると、猫も一緒に連れてこられたようだ。紙を食べ荒らすネズミの退治用だったと考えられる。
また、平安時代の貴族たちは小鳥を飼う習慣があったようだ。美しい鳴き声は、優雅な生活にマッチしたのだろう。

江戸時代中期になると、庶民の間にはペットブームも起こり、ペット用の動物を扱う店や飼い方の指南書のようなものも売られていた。日本のペットビジネスのルーツは、江戸時代にさかのぼるのだ。

子どもの数より多いペット数。近年の日本のペット事情とは

最近のペット事情はどうなっているのだろうか。
一般社団法人ペットフード協会によると、2016年の犬の飼育頭数は約987万8000頭、猫の飼育頭数は約 984万7000頭と推計されている。犬猫合わせて2000万頭近くがペットとして飼育されているわけだ。
ちなみに、2017年、15歳未満の子どもの数は1571万人(男子805万人、女子767万人)なので、ペットの数は、犬猫だけでも子どもの数をはるかに上まわっているのが現状だ。

まさにペットブームと言えそうだが、実はここ数年、犬の飼育頭数は減少傾向にあるという。2008年の1310万1000頭をピークに、毎年約50万頭ずつ減少し、2016年には1000万頭を切っているのだ。

この原因には、犬自身の自然減少が考えられるが、加えて飼い主の高齢化も原因のひとつとなっている。長年、犬を飼い続けてきた飼い主自身が高齢となったケースだ。犬の散歩や世話が難しくなり、犬を手放すことが増え、日本社会の少子高齢化問題がペット減少につながっているというわけだ。そうした中、今後は猫の飼育頭数のほうが犬より増えていく傾向にあると考えられている。

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