米FRB: フェッド・ファンド金利そろそろ打ち止めか

2018.10.01

経営・マネジメント

米FRB: フェッド・ファンド金利そろそろ打ち止めか

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今月の当レポートは、リーマンショックから10年、その教訓、そしてドルの一人勝ちの中での米資産保有考察と、米金融市場中心の内容です。中央銀行であるFRB(米連邦準備理事会)が今週利上げに踏み切ったこともあり、今後の利上げの頻度、そして打ち止め感などについて考察します。

過去に出た予想から、先々を読んでみよう

それでは、2021年までの景気予想はどのようになっているのか、今回発表のFRBの経済データ予想を見てみましょう。下記のグラフ(出所:ウォールストリートジャーナル紙)では、GDP(国内総生産)などの基礎的データの予想を2021年までと、長期の予想(FRBの希望とも言えますが)を示しています。

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それぞれの年に今年6月予想と今回の9月予想の二つが併記されています。これが前回予想とどのように違っているかが、景気動向予想のヒントになります。
GDPでは今年、来年と予想以上に強い数字が記載されています。そして2020年以降は、2%そして2012年には1.8%予想とやや景気後退を予想しているようです。
失業率についてみると、2021年までは概ね3.5%前後を予想しています。長期予想が4.5%となっているところを読むと、現在は3.5%前後の失業率は本当に良い状態であると判断しており、この失業率が少なくとも3年間は続いてほしいというFRBの願望とも受け取れる数字と言えます。

その下のFRBが重視しているインフレ指標PCE(Personal Consumption Expenditure)を見ると、2021年まで概ね2.0%前後を予測しています。現在PCEはコアデフレータで2.0%であり、予想通りの展開になっています。この数字が大きく上振れしなければ、利上げセッションペースには変化がないと言えます。
逆に大きく上振れする事態となると、2021年以降もFRBとしては、インフレ退治としても利上げセッション継続を意識することになるのではと思います。その意味でも、皆さん毎月月末に発表されるPCEの数字には注目する必要があります。

リーマンショックの傷跡深く

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最近注目されなくなった量的緩和終了というFRBの金融政策はどのようになっているのでしょうか。FRBの出口戦略自体にメディア報道の関心が薄れてきています。今回のFOMC声明文の後半の後付け資料にその記述があります。
それによると、9月時点で、財務省証券240億ドル、資産担保証券(Debt and agency mortgage-backed securities)160億ドルの合計400億ドルの再投資をしています。そして10月には財務省証券300億ドル、資産担保証券200億ドルの合計500億ドルの再投資を予定しています。
つまり、パウエルFRB議長率いるFRBメンバーは、景気が好調に推移しているものの、何か金融市場に不穏な動きがあることを警戒して、市場には依然として資金供給を怠らないようにしていることが伺えます。リーマンショックを引き起こした原因であるサブプライムローンのような不透明な証券が出回る警戒感は頭の片隅に置いているのではと推測します。
景気が過度に良くなる時代には、時としてこのような不透明な証券が出回ることが予想されます。最近では自動車ローンなどには注意したいところでしょう。リーマンショックの教訓を活かしている金融機関が多いのですが、時として暴走する傾向があります。

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