日本企業のM&Aが過去最多を記録 ── ベンチャーや事業継承の国内案件が大幅増

2018.08.28

経営・マネジメント

日本企業のM&Aが過去最多を記録 ── ベンチャーや事業継承の国内案件が大幅増

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2017年度に日本企業が関わったM&A(企業の合併・買収)件数は、前年比15%増の3050件(M&A調査会社レコフ集計)。12年ぶりに過去最多の件数を更新し、この10年で最も高い伸び率となりました。 日本企業のM&Aは6年連続で増加しており、とくにベンチャー企業への投資や事業継承を目的とした国内企業同士のM&Aが活発化しています。そこで今回は、2017年度のデータを振り返りながら、ここ最近のM&Aマーケットや今後の動向を見ていきたいと思います。

国内企業同士のIN-IN案件が、前年比2割増で過去最多に

日本企業が関わるM&Aの件数 は2005年以降、リーマンショックなどの影響で大きく落ち込みましたが、2011年から増加に転じて堅調に推移。ここ数年は日本企業による海外企業へのM&A(IN-OUT)や、海外企業による日本企業へのM&A(OUT-IN)で、巨額を投じた大型案件が相次ぎました。

M&Aが過去最多となった2017年度も、
■米投資ファンドによる東芝メモリの買収(2兆円)
■ソフトバンクグループによる米ウーバー・テクノロジーズへの資本参加(9673億円)
■富士フイルムホールディングスによる米ゼロックスの買収(6658億円)
など……、海外企業との大型案件に注目が集まりました。ただ、大型のM&A を含めたIN-OUT・OUT-INの全件数では、前年度からの大きな伸びは見られませんでした。

一方、国内企業同士のM&A(IN-IN)は前年比2割増で過去最多(2180件)となり、M&Aの総件数を大きく押し上げました。とくに目立つのは、大企業が次世代技術を求めてITベンチャーに投資するケースです。

たとえば、通信大手のKDDIは、IOTプラットフォームの「ソラコム」を200億円で買収し、スタートアップの高額案件として話題になりました。
こうしたベンチャー関連のM&AがIN-IN案件の約3割を占めており、日本企業のイノベーション創出に向けて、新興マーケットへの投資がますます活発化していることがうかがえます。


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後継者難の中小企業にも広まる、事業継承M&A

国内のM&A市場では、後継者難に悩む中小企業にも注目が集まっています。国内企業の9割以上を占める中小企業では、経営者の高齢化と事業継承の問題が年々深刻化しており、その解決策として社外の第三者に対する事業・株式譲渡や、吸収合併などを行う事業承継M&Aが活発化しているのです。中小企業のM&Aをサポートする公的機関・事業引継ぎ支援センターの集計では、事業承継に関する2017年度の相談件数は前年比35.5%増の8526件、成約件数は同59.8%増の687件と大きく伸びています。

経済産業省によると、1995年当時の中小企業の経営者年齢は47歳がピークでしたが、2015年には66歳がピークとなり、ここ20年で高齢化が一気に加速。
今後10年の間に、日本企業の3分の1にあたる約127万社が後継者未定の状態になると推計しています。日本経済の根底を支える中小企業が、後継者不在で大量に廃業すれば、雇用機会や技術・知的財産の伝承、サプライチェーン(供給連鎖網)などに、大きな打撃を与えかねないと懸念されています。

次のページ勢いに乗ってさらに活発化する、2018年上半期のM&A市場

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