パワハラも挨拶だった?昭和スポーツ帝国の終焉

2018.08.06

組織・人材

パワハラも挨拶だった?昭和スポーツ帝国の終焉

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

山根会長本人の登場で一気に注目度アップの日本ボクシング協会。極悪非道な独裁体制が明らかになると同時に、前至学館大学レスリング部監督、もちろん前日大アメフト部監督といった人たちが続々とやり玉に挙がっている今年。正に老害、長老支配の悪しき部分が明るみに出ることは、組織にとって、納税者にとっては良いことだといえます。一方それを見ている昭和の子供だった私は、時代という側面も感じる今日この頃です。

今問題として糾弾されている団体トップの皆様は、山根会長(78歳。諸説あります)、至学館栄前監督(57歳)、日大内田前監督(62歳)と、そろそろ最新のサイバー環境などには疎くなるお年頃。私含め、もうそんな最新装備とか覚えられないからと素直に思える年齢です。

しかし最新機種の携帯をゲットするため並ぶ気はなくとも、法律を「知らなかった」では済みません。特に組織のリーダー、トップともなれば、重大な責任が伴うことにも、少し無自覚すぎると思います。かつて昭和の時代の大臣や取締役は名誉職でした。「担当分野は素人です」と堂々と大臣就任インタビューで答えてしまう政治家や、株主代表訴訟のリスクもなかった頃の役員は、単なる名誉だけで済んだのでした。しかし今はもう無理です。ここに気付かない「昔の人」で偉い人は、歩くリスクの塊といえます。

3.(スポーツ)帝国主義の終り
今年話題に挙がったトップの皆さんですが、パワハラ始めずさんで不明朗な会計、暴力といった「今はすべてダメ」になった、一方昭和時代は見逃されていた価値観だけの世界で育った人たちだといえます。あのコワモテの山根会長ですら、インタビューで直接話す姿は年齢もあり、ちょっとレスがちぐはぐなお爺ちゃんと感じました。

恐らくお三方ともに、もっと酷いパワハラや理不尽な指導と称するシゴキなど受けて育ったのではと想像します。やっと自分が天下を取り、これまでの負債を全部回収したところ、時代が変わってしまいそれが許されなかったということではないでしょうか。

既に亡くなった「昭和の名監督・指導者」と呼ばれる方の中にも、もしかすると今の基準で照らし合わせれば完全アウトな指導をしていた可能性は低くないと思います。そもそもこういった人たちは全く悪意すらなく今でいうパワハラを、空気や挨拶のようにしていたのだろうと思います。

今、奴隷貿易を認める国はありません。しかし南北戦争終結まで奴隷取引はありました。奴隷は正当な商品でしたから、今の先進国すべてでこうした取引は歴史上あったのです。その後帝国主義政策が推進され、奴隷という形式は消えていったものの、二重支配による植民地経営など、形を変えた非人道的支配手法は今でも完全にこの世から消えてはいません。

少なくとも奴隷制度はダメと認識は定着しました。他国を侵略して勝手に植民地にし、二重支配構造で原住民を搾取することは帝国を維持拡大するための原動力でした。価値観の変化で帝国は存立できなくなったのです。

意識改革が遅れているスポーツ界は、こうした社会環境の変化について来れているのでしょうか?ボクシング、レスリング、アメフトと、これだけ異常な行為が無批判に維持されていたということは、きっと他のスポーツでも多かれ少なかれ、まだまだ根深く問題があるのでは?という疑問は消すことができません。

独裁者を放置することこそ、その組織の危機管理上最大のリスクであることを認識しなければならないでしょう。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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