ロジカルシンキングを越えて:3.MECEとロジックツリーの誤解

画像: http://mikikitazawa.com/

2018.06.11

経営・マネジメント

ロジカルシンキングを越えて:3.MECEとロジックツリーの誤解

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。

この「根拠を示せ」という質問は、一見ロジカルですが、わかってない人の典型だと思いました。

MECEに検討したとしても、すべての情報が得られるわけではない。もしも、すべての情報を得られることが前提となり、情報を得るスピードや規模の勝負になったら、一番資本力がある所が勝ち続けることになるだけです。そうすると、戦略なんてあったものではないわけです。少し前に、業務系のコンサルティング会社が主張した「メガコンバージェンス」などはその典型ですね。

まとめますと、検討領域の大きな業務系のプロジェクトに、多数のコンサルタントを動員した場合に、効率を確保するために、MECEという技術が生まれたということです。

当然、分けていった後に、アクションに結び付けなくてはいけないわけですが、これがまた、MECEとは別の難しい技術が必要となってくるのですが、そんなことはなかなか書籍に書いてありませんし、教えることができる人もごく少数です。

それは何かと言えば、いわゆる「主語にとっての意味合い」を見出す技術です。

一昔前、「シンクタンクの報告書には主語がない」と揶揄する有名なコンサルタントがいました。確かに、シンクタンクの業務は、客観的な基礎データの整備と言う側面もあります。それはそれで社会的な価値はあります。しかし、報告書に事実を並べたところで、その事実の読み方、「意味合い」を提示しなければ、アクションに結びつきません。

コンサルティング流に言うと「意味合い」、もう少し普及している言葉でいえば、いわゆる「インサイト」に近い概念です。広告業界回りで流行った「コンシューマーインサイト」に近いは近いのですが、ちょっと違います。

まず、同じ事実でも見る人によって、「意味合い」は違うということを見てみましょう。

たとえば、学校のテストで、ずっと30点を取っていた小学生が60点を取るとします。そして、ずっと90点を取っていた小学生が60点を取るとします。この2つのケースは「小学生が60点を取る」という点においては同じ事実なわけですがこの2人の主語にとっては事実の意味が違いますよね。

30点ばかりとっていた人にとっては、「すごくいい点数だ!勉強しなくてもこれだけ取れるんだから、もう少し遊べるかな」と思うかもしれません。逆に、90点ばかりとっていた人にとっては、「ひどい点数だ。最近さぼっていたかもしれない。今後、もっと勉強しないと」と思うかもしれません。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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