太陽光発電の「2019年問題」を受けて活発化する新時代の電力ビジネス

2018.06.11

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太陽光発電の「2019年問題」を受けて活発化する新時代の電力ビジネス

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太陽光発電などの再生可能エネルギーを、電力会社が高値で買い取る「FIT制度(固定価格買い取り制度)」に、いま「2019年問題」と呼ばれる転期が迫っていることをご存じだろうか? 国のFIT制度では、住宅用太陽光発電の買い取り期間を10年と定めているため、2009年の制度開始時(FITの前身制度)に契約した数十万件の買い取り期限が、2019年末に満期(買い取り終了)となる。つまり、これまで電力会社が買い取っていた太陽光発電の余剰電力が、2019年以降はダブつく可能性が出てきたのだ。 これを受けて住宅・電機などの関連メーカーでは、買い取り期限が切れた電気を活用する新ビジネスに次々と乗り出し始めている。FIT終了とともに迎える「2019年問題」を見据え、新たな電力サービスを模索する業界各社の動きを追ってみた。

一方、新電力会社でもFITが終了した世帯を取り込む新サービスに乗り出している。新電力のLooopでは2017年9月、蓄電池「Looopでんち」を購入した契約者に向けて、電気料金を1ワット時あたり3円割り引くサービスを開始。蓄電池の容量はやや小さいものの(4キロワット時)、電気料金が安くなるように自動で充電・放電するAIを搭載しており、価格も89万8000円(税別)と割安で導入できるのが売りだ。

家庭から買い取った電力を自社で活用する企業も

2019年問題を境に生まれる電力ビジネスの可能性は一般企業にも広がっている。
大手住宅メーカーの積水ハウスでは、自社で使う電力をFITが終了した家庭から調達すると発表。自社で販売した発電設備付きの住宅などから、卸売市場での取引価格より1~2円上乗せして買い取るという。同社では自社内の電力を100%再生エネルギーに切り替えることを目指しており、各家庭から買い取った電力をその一部に充てようというわけだ。これまで電力会社が買い取っていた価格よりは安くなるが、市場価格より少しでも高く買い取ることで、顧客の住宅オーナーにもメリットを提供できる。

同じく、自社内の全電力を再生エネルギーにすると表明したリコー・アスクルをはじめ、米アップルでもサプライヤーに再生エネルギーの活用を働きかけており、今後は一般企業の間でも再エネ電力のニーズがますます高まると見られている。こうした流れを受けて太陽電池メーカーのソーラーフロンティアは、昭和シェル石油と提携してFIT終了家庭から電力を買い取り、企業への電力販売を拡大する戦略を打ち出している。

ブロックチェーンを活用した環境価値取引制度を創設

2019年問題を受けて国も動き始めている。環境省ではこれまで環境価値を評価・活用することが難しかった再生可能エネルギーの自家消費に着目し、家庭の太陽光発電が生む「Co2削減価値」を、企業側がまとめて購入できる取引制度の創設を目指している。導入に当たってはブロックチェーン技術を活用し、各家庭の自家消費によって生じるCo2削減価値を効率的に算出。それらを低コスト・自由に取り引きできるシステムモデルを2018年度中に構築するという。家庭では売電にとどまらず、自家消費によるCo2削減価値も売却できるため、今後のシステム拡大・普及に期待が寄せられている。

クラウドファンディング,ソーシャルレンディング,マネセツ

── 以上、FIT終了を見据えた業界各社の動きや国の対応について見てきたが、単に2019年問題といっても、そこから見えてくるのは「プロブレム」だけではない。問題を乗り越えようとする企業の知恵と工夫、技術力によって新たな価値を提供するマーケットが生まれ、それが新時代の一大ビジネスとして発展していく可能性は大きい。
と同時に、FIT依存からの脱却を示す2019年問題は、今後の再生可能エネルギー普及における試金石となることは間違いないだろう。

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