北海道日本ハムファイターズ。本拠地移転問題から見る球団の経済事情(1)

2018.05.23

経営・マネジメント

北海道日本ハムファイターズ。本拠地移転問題から見る球団の経済事情(1)

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2018年3月、プロ野球球団の北海道日本ハムファイターズが、本拠地を札幌市から北広島市に移転させ、新球場を建設することを決めた。人口196万人を誇る道都・札幌市から、6万人に満たない隣の北広島市に移転するのは、なぜなのだろうか。 ファイターズの本拠地移転&新球場建設構想から、日本のプロ野球球団のフトコロ事情を眺めてみることにしよう。

本拠地・札幌ドームは使いにくい賃貸物件!?

日本ハムファイターズがフランチャイズを北海道に移したのは2004年のこと。新庄剛志、ダルビッシュ有、大谷翔平ら、多くのスター選手を擁し、北海道移転後はリーグ優勝5回、うち日本一2回という輝かしい成績を収めている。
ホームゲームの観客動員数は200万人を超え、パリーグではソフトバンクに次ぐ2位(2017年)。経営的にも安定しており、親会社である日本ハムからの補填はあるものの、長期にわたって黒字経営を続けている。

ホームグラウンドは札幌ドーム(札幌市豊平区)。巨人といえば東京ドーム、阪神といえば甲子園などと同様、ファイターズといえば札幌ドームという印象は全国的にも定着している。しかし実は、札幌ドームはファイターズが所有しているものではなく札幌市の所有で、市の第三セクターが運営。ファイターズは球場使用料を支払って試合しており、札幌ドームとファイターズは大家と店子の関係というわけだ。その店子(たなこ)であるファイターズは、かねてから大家である札幌ドームに大きな不満があったといわれている。

最大の不満は、高額な球場使用料

もともと札幌ドームは、サッカーJ1の北海道コンサドーレ札幌との兼用。人工芝と天然芝のピッチを入れ替える画期的な多目的スタジアムだったが、それゆえに使い勝手の悪さもあった。ピッチの入れ替えはもとより、他のイベントが開催されるたびに客席やトレーニング器具などを移動しなければならないという。また、球団は古い人工芝の貼り換えや客席の改修などについて球場側に申し入れたが、他の使用者との公平性の保持や市議会の承認が前提となることなどを理由に認められてこなかった。

球場の使い勝手もさることながら、ファイターズの札幌ドームへの最大の不満は高額な球場使用料。札幌ドームの1日の基本使用料は831万6000円(2016年10月以前は800万円)。入場者が2万人を超えた場合は、1人につき415円(同400円)が加算される。2017年実績でみてみると、札幌ドームでのファイターズ戦59試合の観客動員数は平均2万9932人。しかし、3万人以上の観客が入った試合は19試合、4万人以上入った試合も12試合あった。これらを鑑みると、年間の球場使用料は9億~11億円にのぼるといわれている。

球場関連費用が、ファイターズ選手の年俸総額に匹敵?

加えて、球場を所有している球団であれば、大きな収入源となるはずの球場内の広告料約2億5000万円も、すべて大家である札幌ドームに入る。また、売店や飲食店の収入も球場側、チームグッズなども球団が球場に卸して販売してもらうという立場で、逆に警備や清掃料などは球団持ちだという。前述の球場使用料に加え、これら球場関連費用が約17億~18億円にもなるともいわれ、合計すればファイターズの選手の年俸総額(約29億円)に匹敵する額になる。

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