内定取消しの理由と不当な取消しを受けた場合の対処法

2018.05.07

経営・マネジメント

内定取消しの理由と不当な取消しを受けた場合の対処法

労働問題の解決に役立つ法律メディア 労働問題弁護士ナビ編集部
株式会社アシロ

内定取消しには正当な理由のあるものと、不当な理由で取り消されるケースの両方が考えられますが、もし不当に内定を取り消された場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?今回は、内定の取消しにあう主な理由、取り消された場合の裁判例と対処法をご紹介します。

内定取消し(ないていとりけし)とは、一般的に、企業から採用可として雇用契約の締結を約束された(内定をもらった)のに、企業側からこれを一方的に取り消されることを言います。

もしも、内定者がその企業に入社することが決まったことを理由に他の企業からのお誘いを全て断ってしまったような場合、突然の内定取消しは絶望的なものといって良いでしょう。

この場合、内定者は何もできないかというとそんなことはありません。仮に不当な理由により内定を取り消されたような場合、法的な主張をすることで雇用上の地位を確保したり、内定取消しにより生じた損害を賠償してもらうことが可能です。この点について十分な知識を有していれば、泣き寝入りを防ぐことも可能かもしれません。

この記事では、内定取消しにあった際に、あなたが全力で抗う方法をお伝えします。

内定取消しが不当・正当となる理由(事由)とは?

内定取り消しが不当となる事由・ケース

採用の内定取消しについては、最高裁の判例があります。具体的には大日本印刷採用内定取消事件(昭和54年7月20日判決)という判例で、

「採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的に認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる」

と判示されています。したがって、このような理由に拠らない内定取消しは違法・無効ということになります。

裁判年月日 昭和54年 7月20日

裁判所名 最高裁第二小法廷 裁判区分 判決

事件番号 昭52(オ)94号

事件名 大日本印刷採用内定取消事件

文献番号 1979WLJPCA07200002

つまり、

  • 単に社風に合わない
  • 印象が悪い

などといった抽象的・主観的な理由は基本的には正当な理由となりません。また、

  • 決算で赤字になったから
  • 採用をする余裕がない など

相当程度合理的な理由であっても、これが採用内定時にも容易に予測し得るような場合であれば、やはり正当な理由ではないと評価される可能性は十分にあります。

他方、以下のような理由(事由)がある場合は、内定取り消しが適切と判断される可能性が高いと考えられています。

内定取消しが正当だと判断される4つの理由

(1)

内定後の事情から、内定者を雇い入れると人件費が経営を圧迫して行き詰まることが明らかであり、既存の社員の解雇を回避するためには、内定取消しがやむを得ない場合

次のページ内定取消しとは「解雇」と同じ扱い

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