新規事業における素朴な疑問 (2) ”多重兼務”担当者が多過ぎる

画像: alan jones

2015.08.20

経営・マネジメント

新規事業における素朴な疑問 (2) ”多重兼務”担当者が多過ぎる

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

新規事業に取り組む企業の行動パターンに関する素朴な疑問シリーズ、その2回目として取り上げたいのは推進体制面。関与する担当者が幾つものテーマを抱える「掛け持ち」度の高いメンバーばかりのため、プロジェクトの質とスピードが劣化するという課題である。

小生がアーサー・D・リトル(ADL)という戦略コンサル会社に勤務していた20数年前にも、新規事業の開発や見直しの支援プロジェクトを毎年数件は手掛けていた。

その頃のプロジェクトでは、コンサルタント側はもちろん、クライアント側のメンバーも専任が少なくなかった。少なくともプロジェクトリーダーと事務局メンバーは専任にしてもらうパターンが典型的だった。

ところが昨今の新規事業開発プロジェクトでは、期間は大幅には変わらないが、専任メンバーが非常に少なく(時にはゼロ)、大半のメンバーは現業を持つ上に、他の新規事業プロジェクトにも幾つも関与している、といった事態が普通になっている。もちろんクライアント企業が同じではないので単純な比較はできないが、他のコンサル会社の知人に聞いても、この「掛け持ち」度の高止まり傾向は同じようだ。

時には苦笑するような場面にも遭遇する。

あるクライアント企業での新規事業の開発プロジェクトが完了し、(同じ企業内で)次のテーマに移ったら、1/3くらいのプロジェクトメンバーが前回と同じ顔ぶれだった、という事態だ。ある意味やりやすい側面はあったが、ちょっと考えさせられた。

ことほど左様に、ほんの少数(ときには0人!)の担当者だけが専任で、あとのメンバーは現業と複数の新規事業テーマを兼任しずっと薄い関与のまま、ということが実に多い。その兼任数も二つ程度ならともかく、大小合わせて三~四つということがざらで、いわば大半のメンバーが「多重債務者」ならぬ「多重兼務者」なのだ。

各メンバーの「掛け持ち」度合いが高いと何が不具合かというと、プロジェクトの質もスピードも劣化するのだ。

第一の問題は、個々のプロジェクトへの深い思い入れが生じにくくなることから発する。他にも幾つかのテーマを抱えて忙しくなると、「自分だけが頑張らなくとも」という他力任せの依存心が強くなってくる。そうなると人は楽をしたくなるもので、脳みそをぎりぎりと絞って考え、懸命にユーザーや関係者の真意を汲み取ろうとする努力から遠ざかる。自らの責任で外部と交渉したりリスクを取ったりすることにも及び腰になる。

要は主体性がなくなり、サラリーマン根性が露骨に出るのだ。こんなメンバーばかりで思い切った新規事業を開発できますか?

もうひとつの問題はスピード感が絶対的に不足し、プロジェクト完了までの期間が長くなることだ。

ほぼ専任化したメンバーだけで構成されるプロジェクトであれば毎日でも簡単な打ち合わせができ、状況と課題を素早く共有し、対策を協議することで着実かつ迅速に進捗できる。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

当社は事業戦略・業務改革の2つのテーマを中心に、企業改革をお手伝いします。代表である私は、30年弱にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、ハンズオンの姿勢で、実践的かつスピーディな課題解決を心掛けています。事業戦略策定については新規事業・新市場進出を中心にお手伝いさせていただいておりますが、最近は既存事業の見直しも増えています。その際のスタンスは「選ばれる理由」を明確にすることです。またBPMのエヴァンジェリストとして、BPMアプローチ(KPIを軸に狙いと手段を整合させた上で、PDCAサイクルに沿った継続的プロセス改革を進める手法)による「空回りしない」業務改革を唱えております。詳しくは弊社HPをご覧ください。ご登録いただければメルマガもお届けします。

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