ユニクロはどこへ行くのか?

画像: IQRemix

 ユニクロが変調を来していると多くのメディアが伝え始めた。ここしばらくの売り上げ不振に対して、それは一過性のものではなく構造的な問題が起き始めているとの指摘だ。一方、実際にユニクロの店舗を訪れてみると、以前とは随分と客層が異なってきていることに気付く。ユニクロに何が起きて、そしてユニクロはどこへ向かおうとしているのか。

■これからのユニクロの生きる道
 かつて、ユニクロの成長期に店舗に行った時には、「驚き」があったように思う。オシャレではないけれど、「こんなにしっかりしたモノが、こんなに安いなんて!」という、まさに前出の『高品質で低価格』という感想だ。それが、品質はもはや顧客を置き去りにするほど過剰ともいえるレベルに達しようとしている。一方、価格は値上がりが続く。とすれば、もはや「品質×価格」という軸での魅力を追求することが限界に達しているのではないか。
 かといって、オシャレ感、デザイン性はユニクロの勝負の土俵ではない。2009年にユニクロとデザイナーのジル・サンダーがコラボして以来、デザイナーコラボは様々な形で継続している。しかし、その商品を求めに来るのはデザイナーのファンであり、その他商品と併買している姿はあまり見受けられない。また、いかにファッション性を高めるかに注力して自社のバリューチェーン(VC)を組み上げているZARAやH&Mと戦うには、ユニクロのVCを根本から組み直し、今まで価値の主軸としてきた品質を捨てる覚悟すらしなくてはならないかもしれない。そんなリスクは犯せない。とすれば、ユニクロはどんな価値が提供できるのだろうか。

 最近、ユニクロがオンラインストアで提供を始めた「自分に合ったサイズが選べるファインクロスシャツ」という商品がある。首回り・袖丈・身幅を組み合わせ169通りの中から選べるセミオーダー感覚のシャツだ。今までにもユニクロはオンラインストアで商品にプリントや刺繍を施せる「UNIQLO CUSTOMIZE」というサービスを提供していたが、それをさらに進めた本格的なカスタマイズサービスだ。そんな「自分にピッタリなシャツ」が2990円で購入でき、2~5日で自宅に届くという。こんなサービスも新たな「驚き」を生むものといえよう。いずれにしても、ユニクロは「品質」だけでない新たな「価値の軸」を模索し、これ以上の価格上昇を抑止する必要があることは間違いないだろう。


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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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