おさらい「労働観の変遷」~苦役から社会貢献・ゲームとしての仕事へ

画像: Noboru Murayama | Career Portrait Consulting

2018.04.21

組織・人材

おさらい「労働観の変遷」~苦役から社会貢献・ゲームとしての仕事へ

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人間は古来、営々と労働してきました。「労働」というものをどうとらえるか。これは人により、国により、時代によりさまざまです。労働は当初、生命維持のためにやらねばならない苦役という否定的な見方が主流でした。時代が進むにつれ、骨折りとしての労働は次第に多様なとらえ方をされはじめます。

◆100年前のケインズの予言:働かないことに耐えられるのは少数

そしてこう書いています───「経済的な必要から自由になったとき、豊かさを楽しむことができるのは、生活を楽しむ術を維持し洗練させて、完璧に近づけていく人、そして、生活の手段にすぎないものに自分を売りわたさない人だろう」。

しかしこういった人は世の中にごくわずかであり、大多数は目的を喪失し、暇を持て余してノイローゼになってしまうと想像しています。

そのためケインズは、皆で仕事を分け合って、1日3時間、週15時間働くようにすれば、問題の解決をとりあえず先延ばしできるとも書いています。現在で言うワークシェアリングの発想です。



◆趣味やゲームで食っていくという労働観がごく普通になる?

さて今後、社会の高齢化が進み、リタイヤする人たちが増えていきます。年金で十分に生活ができる彼らの中でも、まだ働き続けたいと思う人が多く出てくるでしょう。それは誰しもなんらかの形で社会に帰属し、世の中と交流したいと欲するからです。ボランティア活動含め「社会参加としての仕事」は今後ますます広がってくると思われます。

また、「趣味としての仕事」「ゲームとしての仕事」がまったく普通の労働観になるかもしれません。

いまや動画サイトに趣味的な映像を制作公開して金を稼ぎ出す人、趣味的な物品を買い付けて通信販売する人、1日中パソコン画面上の取引数値を見つめ、ゲーム感覚で株や外貨をトレードする人……そんな活動で人生を送っている人たちが増えています。手軽で安価なテクノロジーが普及することにより、今後はだれもが遊びを職業化できるチャンスを持てるようになりました。会社員が副業/複業として、遊び感覚の仕事を持つケースも増えてくるでしょう。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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