マーケティングとは何かと問われると、言葉に詰まってしまう経営者も多いだろう。会計事務所マーケティングの第一人者として業界をリードする株式会社アックスコンサルティング代表の広瀬元義氏によれば、マーケティングは企業活動に必須のものだという。 自社のみならず業界自体をも盛り上げるマーケティングの手法とは、どのようなものなのか。経営者はどのような姿勢でマーケティングに向き合い、経営に取り組むべきなのか。30年の歴史をもつ組織を率いる広瀬氏に聞いてみた。 (聞き手・仙石実・公認会計士、税理士/構成・株式会社Tokyo Edit 大住奈保子)
アメリカにはAAM(The Association for Accounting Marketing)という米国会計事務所マーケティング協会があるのですが、私は日本人で唯一、AAMの会員です。そこで最先端のマーケティングを学びながら、日本の皆様にもお伝えしているのです。
士業という“点”を線や面にしていきたい
(仙石)御社は2011年に「Q-TAX」をリリースされましたが、このサービスを始めるきっかけについても、ぜひお教えください。
(広瀬)ご存じのとおり、Q-TAXは良質な会計事務所のみが加盟できる、全国ネットワークです。加盟事務所については当方がコンサルティングを行い、お客様本位のサービスを提供できるようなしくみを整えています。
たとえば士業業界には、昔ながらの高級寿司屋のような感じで、顧問先の顔色を見ながらサービスの価格を決めるというような商習慣が長年ありました。
でもお客様目線に立てば、しっかりとした価格表があったほうがいいのは当然です。安心して士業サービスをご利用いただくために、まずは料金体系とサービス内容を明示しよう。こう思ったのが、Q-TAXのはじまりでした。
一方で事務所側に立てば、宣伝やマーケティングまで手が回り切らないという課題が出てきます。規模の小さい事務所ではなおさら、その傾向が強いでしょう。PRに腐心してばかりいては、一番大事な経営がおろそかにもなりかねません。
そんな中、Q-TAXが税理士業界の共通のブランドに育てば、加盟しているだけで一定の信頼を勝ち取ることができます。われわれが宣伝やマーケティングを代行することで本業に集中できるようになり、中小企業の経営者様をサポートできると考えたことも、Q-TAX推進を後押ししました。
(仙石)士業業界を盛り上げていくために、今後展開していこうと考えておられる事業はどのようなものでしょうか。
(広瀬)2015年に司法書士のネットワークである「アックス司法書士パートナーズ」、2016年には社労士のネットワークである「アックス社会保険労務士パートナーズ」をリリースしましたが、今年は弁護士のネットワークをつくりたいと思っています。
企業担当者は、それぞれの士業の担当領域を認識していないことがほとんどです。税理士、社労士、弁護士と個別にPRしても、悩みが発生したときに誰に相談すればいいのかがわからないんですよね。
アックスコンサルティングは“点”であるそれぞれの士業を“線”や“面”にしていきたいと思っているんです。どんなお悩みも、うちに相談してもらえれば最適な専門家を紹介できる。そんな存在になれれば、厳しい経営環境に置かれた中小企業を、より強力にサポートできると信じています。
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