“ファーストペンギンでありたい”という宮本社長が追い求める“世の中にないものを作る”というDNA。東京の下町、東神田から発信するオンリーワンの商品。四代目となる宮本彰社長に文化放送『The News Masters TOKYO 』のパーソナリティ・タケ小山が、その不思議な魅力の秘密に迫る。
スキマ市場を狙え
宮本社長が「世の中にないものを作ることがこの会社のDNA」と言う通り、数々のユニークな商品を世に送り出してきたキングジム。そのアイデアを生み出す原動力は何かとタケ小山が尋ねた。
「ウチは失敗しても責任は問われないんです。新製品は10個出して、1個当たればいいと言っています」
そんなに簡単にはヒット商品は出るものではない。その上で失敗を恐れない大胆なアイデアを受け入れるのだそうだ。
ただ「これは世界で初めてのものなのかどうか、それは気になります。どんなに良い企画であっても、他社の二番煎じとなるのなら拒否します」
「キングジムのような会社は誰もが欲しがる商品を扱ってはいけないんです。スマホを出そうなどと考えてはいけない。スキマを狙わなければならないんです」
このスキマというスペースがなかなか難しい。スキマが大き過ぎると大企業も参入してくる。みんなの欲しがる商品に手は出さない。少数の方が「どうしても欲しい」と言うモノを作るのがキングジムの心地よいスキマなのだ。
“失敗しても責任を問われない”環境が、心地よいスキマ市場を狙える商品を生み出しているのだろう。
「突飛なアイデアというのは大概が潰されるんです。でも、ありえないと思われるところにチャンスがあったりするので、何でも言える環境づくりが大事。上司にすぐに叱られるようだと突飛なアイデアは出せません」
自由な発想ができる環境づくりが宮本社長の重要な仕事だ。
社長はイエスマンでいい
37歳で四代目社長に就任して25年。超ベテラン社長の考える“社長の役割”は「社長はイエスマンでいいんです」だ。
「会社の規模にもよりますが、大きな会社になれば社長がすべてを把握できるはずはありません。それぞれの専門部門に任せればいいのです。社長は昇格人事をしっかり見極めてやればいい。それがうまくいけば、後は判子を押しているだけでいいんです」と言うのが宮本社長の持論だ。
「もちろん全部ではありませんが、ほとんどの事は、幹部を信じて判子を押していればいいと思っています」
キングジムでは市場調査は行わない。
「私はあまり信用していないんです。過去に間違った方向へ導かれたことがあったので」
これも宮本社長の持論だが「人の頭の中には欲しいものリストと言うものがあって順番が決まっているんです。人は上から買い物をしていくわけですから、お金があれば順番が低くても買ってもらえるが、そうでない若者には手が届かない商品となってしまうんです」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26