ナレッジワーカーの知的生産性向上術 自分の仕事をバランススコアカードで考える

画像: Marco Verch

2017.11.22

組織・人材

ナレッジワーカーの知的生産性向上術 自分の仕事をバランススコアカードで考える

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

BSCは、組織やチームにおける戦略の立案と実行だけではなく、ナレッジワーカー個人のビジネスの生産性向上にも応用できる、優れたフレームワークだ。 応用できるどころか、私はむしろ個人のワークプロセスにこそ取り入れたいフレームワークだ。

こうした評価は、状況を表している評価だけで、それが「何に対して貢献しているのか」「組織のバリューチェーンとどうつながっているのか」という視点が抜け落ちているわけだが、現場では、「間接部門だから具体的な評価はできない」「我々の仕事は数値で測れるものではない」などといった言い訳が氾濫し、放置されている。

BSCの優れているところは、こうした混乱や言い訳、不明瞭な仕事に答えを出してくれる。BSCは財務数値以外にも3つの視点を持つことで、バリューチェーンのあらゆる部門において戦略策定、実行計画、評価、つまり「PDCA」を回すことができるのだ。

知的生産性を向上するBSC

まず、ナレッジワーカーは、自分の仕事が大きな枠組み(プロジェクトチームやクライアント企業のバリューチェーンの一部である場合も含む)が目指すビジョン、戦略が何であるのかを理解したうえで、そのなかでどのような役割を果たし、存在意義は何かを明確にする必要がある。

そしてそのうえで、自分のビジネス(業務範囲)のなかで、「財務数値への貢献」「顧客への貢献」「業務プロセスの構築、改善」「人的資源の開発、教育」という4つの視点を考える必要がある。その際、自分自身への問いは次のようなものになるだろう。

・プロジェクトやバリューチェーンにおける自分の仕事によって、出さなければならない経済的なインパクト、付加価値は何か

営業であれば分かりやすいが間接部門や直接数値を扱わない場合は、途端に難しくなるかもしれないが、給料をもらっている以上、必ず「価値」を出さなければならない。間接的な売上貢献でもいいし、業務プロセスの改善によるコストの削減でもかまわない、自分の仕事を金銭におきかえてみる。

・自分の仕事は、誰の満足を満たすものか、誰の問題を解決するのか

どんな仕事にも、「顧客」はいる。マーケティング部門は営業が顧客であり、経理や財務は役員や株主がクライアントであったりする。経営者であればそこに社員が加わることもあるだろう。今行っている仕事は、誰に貢献するのだろうか。

・経済的インパクト、顧客貢献を果たすためには、どのようなプロセスが必要か。また、現在のプロセスを改善するとすれば、それは何か

顧客貢献と経済的インパクトを両立させるもの、これが優れた仕事の定義だと言ってもいいと思うが、その状態にするためには、どのような仕事のプロセス、あるいはマイルストーンをたどればいいのだろうか。そして、現在行っている仕事は、そのプロセスに乗っかっているのだろうか。さっそく検証してみよう。

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