MacBookAirが予言する未来

2008.02.15

IT・WEB

MacBookAirが予言する未来

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

封筒にすっと入ってしまうノートパソコン、MacBookAirである。そのキャッチフレーズは「世界最薄のモバイルPC」。このマシンが描くのは人とパソコンの近未来予測図だ。

もっとも薄い部分は、わずかに0.4センチ。もっとも分厚い部分で
も、たった2センチ弱。MacBookAirは世界でもっともスリムなノー
トパソコンである。スティーブ・ジョブズはそのプレゼンテーション
でわざわざ、このウルトラスリムノートを薄っぺらなマニラ封筒から
取り出してみせた。まさか、そんなところからノートパソコンが出て
くるとは誰も予想できない。この粋な演出がMacマニアたちから大喝
采を受けたのは言うまでもない。

しかし、発表当初からMacBookAirには賛否両論が渦巻いてもいる。
従来なら熱狂的なMacファンの間から否定的な意見が出てくることは
滅多にないのだが、今回ばかりは別だ。そのあまりにも思いきった仕
様に対する異論・反論は、Macユーザーからもわき上がっている。

MacBookAirの仕様をみてみよう。光学式ドライブがなく、イーサ
ネットすらない。外部とのケーブル接続を望むなら、わずかに1個だ
け用意されたUSBポートを介して行なうしかない。極端なまでの思い
きりである。これではソフトのインストールはおろか、ネットへの接
続すら満足にはできないではないか。寄せられている反論の多くがこ
うした内容となっている。

もちろんMacBookAirがソフトのインストールを受け付けないわけで
はない。リモートディスク機能を利用して別のパソコン(Macに限ら
ずWindowsマシンでも可能である)のDVDドライブを共有しインス
トールすることができる。コネクターをUSBポートにつなぎ、LAN
ケーブルで接続することも可能だ。追加コストがかかるけれども、外
付けの専用光学式ドライブだって用意されている。

いま現在の使い勝手をサポートするための手だてはちゃんと考えられ
ているのである。しかし、それらはあくまでもオマケとして捉えてお
いた方がよい。MacBookAirの本質的な価値は、現時点での利便性で
計られるべきではない。

なぜなら、このマシンが示しているのは、モバイルコンピューティン
グ、あるいはパーソナルコンピューティングの未来図だからだ。この
ポイントを理解しておくべきだ。これからの通信環境の進化を先取り
したマシン、それがMacBookAirである。

おそらくはこの先2年、かかっても3年先には全国にWiMAXが普及す
るはずだ。これは広域屋外無線通信である。あくまでも個人的な予想
だが、WiMAXが張り巡らされれば、いまのケータイを使うような感
覚でいつでも、どこでも高速でのネット接続が可能になるだろう。そ
のときノートパソコンにLAN端子がまだ必要だろうか。あるいはそう
した無線ネットワークの活用が前提となるとき、アプリケーションを
はじめとするさまざまなデータのやり取りに光学式のドライブがなく
てはならないのだろうか。

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