オーストラリア経済、RBA金融政策考察

2017.10.23

経営・マネジメント

オーストラリア経済、RBA金融政策考察

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今回は、オーストラリア経済(豪経済)と金融政策を考察してみます。 投資対象として日本の投資家には身近に感じられ、そして中国依存の経済体質、資源国通貨として考えないといけないという面があります。同じ取引時間帯で経済指標、金融政策などの発表があり、取引をしやすくなりました。

豪経済は中国依存体質があると言われていて、現に中国の経済指標の強弱で大きく変動する豪ドルと言われています。そこで中国経済の現状を簡単に見てみました。
7月中旬に発表された中国第2四半期GDP(国内総生産)6.9%前年比と、中国政府の言う新常態の6.5%前後の経済成長で推移しています。但し、不動産投資の落ち込み、消費の落ち込みが見られることは懸念材料です。
第3四半期以降6.0%以下に落ち込まなければ、巡航速度の中国経済と言えます。対中貿易に高い比率で依存する豪経済には追い風と言えます。逆に言えば、来年以降中国経済に変調が起きれば、豪経済も変調を受けると考えた方が良さそうです。

新常態の中国経済を前提に、豪経済はどのような経済状態であるか、数字で見て見ましょう。
第2四半期GDPはまだ発表されていないので、第1四半期1.7%前年比を参考にしてみたところ、この数字は悪くはないと言えます。直近の経済指標では、豪第2四半期消費者物価指数1.9%前年比となっていて、第1四半期の2.1%からは低くなっています。
RBA(豪準備銀行)のインフレ目標は2~3%です。この範囲内で消費者物価指数に収めることがRBAの最重要命題と言えます。下記グラフ(出所:RBA)は、長期のインフレの推移を示しています。2000年以降を見ると、2008~2009年のリーマンショックの影響もあり、1%に近いインフレ率を示していました。デフレの懸念もあった訳であり、RBAは利下げ政策を続けました。



下記グラフ(出所:RBA)は、RBAの政策金利(Cash Rate)の推移を示しています。リーマンショック後、利下げを続け、現在は1.5%の位置にあります。最後に利下げに踏み切った時期は昨年の8月でした。
そして現在は、中立の金融政策を続けています。直近の声明文では、政策スタンスを変更しないことが経済の持続可能な成長と時間をかけて、インフレ目標を達成することに一致すると判断したとしています。

しかし低水準の政策金利は、豪経済を引き続き支えるとの文言が加えられ、近い将来の利上げ観測に水を差しています。経済の回復は明らかであり、利上げをして、その環境を壊したくはないとのRBAの慎重さを示しているとも言えます。

筆者は、来年からは利上げに踏み切る方向に金融政策に舵を切るのではと思います。それは米国の利上げセッションの継続、そして欧州のECBの大規模金融緩和からの出口戦略(資産購入の縮小(テーパリング)とも符合するものです。

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