瀬古利彦が苦言「日本マラソン界は危機的状況」

2017.10.05

経営・マネジメント

瀬古利彦が苦言「日本マラソン界は危機的状況」

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日本陸上競技連盟のマラソン強化戦略プロジェクトリーダーであり、DeNAランニングクラブ総監督の瀬古利彦さんが登場。 長きに渡り陸上競技界を牽引してきた瀬古さんのマラソン選手育成への熱き想いにタケ小山が迫る。

今の日本マラソン界


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瀬古さんは、1956年生まれ。高校から陸上選手としてのキャリアをスタートし、大会では中長距離で頭角を現す。早稲田大学入学後、本格的にマラソンのトレーニングをはじめ、箱根駅伝では4年連続で「花の2区」を走り、3・4年生のときには区間新を獲得。トラック競技においても世界記録を樹立させるなどスーパーエースとして活躍する。

その後の現役時代も数多くの華々しい功績を残し、1970年代後半から1980年代にかけてのマラソンブームを築いた第一人者となった。引退後はヱスビー食品陸上部監督、早稲田大学競走部コーチを務めるなど選手育成に惜しみなく力を注いでいる。

そんな瀬古さんに日本マラソン界の現状を聞いてみた。

「現在日本のレベルは世界と大きな溝をあけられている。オリンピックだけでも、男子は1992年から、女子は2004年からメダルを取れていない。これは3年後に東京オリンピックを控えている今、かなり危機的な状況になっている。その大きな原因は、マラソンを本気でやろうとする選手が少なくなってきていること。われわれのときはマラソンが本業、駅伝が副業というのが普通だったが今は逆になっている」

インタビュー冒頭から日本のマラソン界の危機について語る瀬古さん。

"駅伝の競技者からマラソンにスカウトすればいいのでは?"というタケの質問には、こう答えた。

「マラソンは本当に苦しい競技。人からやれと言われてやるようだと続かないし育たない。現在、日本記録と世界記録を比べると4分半近く開いている。大きな壁ではあるが、東京マラソンやボストンマラソンでいい選手が出てきている。東京オリンピックにも世界記録を出せる選手が出場するだろうが、夏開催で暑く、各国3名出場などの条件から入賞に食い込める可能性はあると思う」

日本人選手のすべきこと


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リーダー・監督という立場から、日本のマラソンについて厳しい見解をもつ瀬古さん。日本人選手はどうすればいいのか、聞いてみた。

「日本のマラソンの歴史というのは、他の国より走りこむことで頂点を極めてきた。今の選手は走りこんでいないわけではないが、まだまだ練習が足りない。自分の現役時代の練習内容をDeNAの選手にやらせても、下地ができていないので今の段階ではダメ。ただ選手も前向きに取り組んでいるため、練習の内容は濃くなっている。練習量といえば高橋尚子選手。彼女は2日に1回、40キロ走る。それが金メダルの練習量。原点に戻って、走りこんで、泥臭くやらないと上位国のケニアには勝てない」

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