空気を読むって

2007.04.20

組織・人材

空気を読むって

横井 真人
産業能率大学 教授

その場の空気が読めないのは致命傷らしいです。コミュニケーションに不器用なあなたにこっそり訓練方法を教えます。

その場の空気が読めないのは致命傷らしいです。
この前ある若手社員が教えてくれました。
若い人の間では皆と違うノリだと敬遠されるらしいです。
不器用な人にとっては生きにくい世になってきました。

そう、場の空気って存在するのです。
若い人達の感覚は正しいのです。
私もこの時期は新人研修の講師をする機会があります。
この前、空気が変わる瞬間を体感しました。
うちの研修は楽しく身につくことをモットーとします。
ワークやゲームを通してコミュニケーションのポイントを
学んで行きます。そして最後の演習。
怖い上司に対し、よくないニュースを報告する場面を
自分のコミュニケーションの癖を踏またロールプレイング
をします。その中で怖い上司役を講師が演じる代表
ロールプレイングを実施しました。
現場配属前にありそうな場面を疑似体験するためです。

私があまり演技せずに?地でやってしまった結果、相当
怖い上司になってしまいました。報告する役の新人君は
「なんでそんなことになるの!」の一言で頭が真っ白になり
立ちすくんでしまいました。
それまでの和気あいあいとしたムードが一瞬で凍りつき、
参加者50人「にドン引き」されてしまいました。
笑顔が無表情に、視線が下に向き、姿勢が硬直し、
まるでアニメのちびまるこちゃんのように皆の顔に斜線が
サーっと入るのが見えた気がしました。

講師経験のある人は分かるでしょうが、研修の中で講師
は問いかけや講話だけでなく、声のトーンや口調、表情
などを駆使して場の空気を和ませたり引き締めたりします。
でもやり過ぎるとその後が大変です。反省。

このサイトの別の記事で弊社の野口が
「人の気持ちが分かるには?」
に書いていますが、人は相手の表情や姿勢、声などの
情報を頼り人は「空気」を判断します。
ここで言う空気とはその場を共有する人々全員が共通で
抱く気持ちや感情の印象なのです。

AHA!体験で有名な脳科学者の茂木健一郎先生の近著
「感動する脳」にも興味深い記述があります。先生は
感情というものは一瞬の間に伝わる性質があると書いて
いらっしゃいます。例えばサッカーのワールドカップの試合で
スタジアムやスポーツカフェの観客が日本がゴールした瞬間、
その興奮と喜びを一瞬にして共有できることからも分かります。
そしてそれは人間に「共感回路」というものが脳の中に
存在するからこそ可能となるのです。

脳の中には沢山の回路が存在し、同じ作業を繰り返すことで
対応する回路が強化されるのです。職人さんが何年もかけて
修行することで生まれ持ったような自然な動作ができるように
なるのも、この回路強化のたまものなのでしょう。

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横井 真人

横井 真人

産業能率大学 教授

個人と組織のパフォーマンス向上を研究。人の行動をスキル、知識、行動意識、感情能力、価値観等の要素に分解し、どの要素が行動に影響を与えているかの観点からパフォーマンスを分析。職場のコミュ二ケーション、リーダーシップ、チームビルディング、ファシリテーション、ソリューション営業、マーケティング等の具体的施策に視点を活用する。

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