扇風機とトースター、“変わるはずのないもの”に脚光を浴びさせたバルミューダが提示したこと

画像: kamiharaSally

2015.08.21

営業・マーケティング

扇風機とトースター、“変わるはずのないもの”に脚光を浴びさせたバルミューダが提示したこと

神原 サリー
株式会社神原サリー事務所 代表取締役/顧客視点アドバイザー

 2015年5月に発表され、6月から発売が開始された「バルミューダ・ザ・トースター」が快進撃を飛ばしている。平均売価が2500円程度というオーブントースターにおいて、この新製品の販売価格は税込で約2万5000円。これまでの10倍の価格設定ながら、欲しいという声は高まるばかり。テレビなどのメディアへの露出が引きも切らない。その理由はどこにあるのだろうか。

■数々のエピソードが共感を呼ぶ

 もう変わることのないと思われていたものに再び着目をし、揺るぎない信念で開発に情熱を捧げ、付加価値をつけて“高級扇風機”“高級トースター”という新ジャンルを作り上げたバルミューダ。今までにないものをゼロから創造しなくても、当たり前のものを見直すという手法は、家電に限らずともものづくりに生かせるのではないだろうか。

 未知なるものでないだけに、そこに新しい価値が付加されたときのインパクトは大きく、生活者のワクワク感は否応にも高まる。

 最後に、バルミューダがこれまで記者発表会などで提示してきた数々のエピソードや流通へのチャレンジにも触れておきたい。

 1つは、2014年4月に同社の扇風機の5代目モデルとなる「GreenFan Japan」の発表会時に代表の寺尾氏が行なったファイナル宣言だ。日本の家電製品は半年から1年でモデルチェンジをするのが普通だが、代表の寺尾氏は「扇風機のことを誰よりもよく考え、わかっている私自身が本当にいい扇風機だと自信を持っていえる扇風機だから、『GreenFan Japan』はいい扇風機のスタンダード。だから、モデルチェンジせずに同じ価格で5年、10年売っていきたい」と言い切ったのだ。発表会での熱い思いがこもったプレゼンに、最初は静まり返り、やがてざわつき、その後会場が拍手で包まれたことが記憶に残っている。

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神原 サリー

株式会社神原サリー事務所 代表取締役/顧客視点アドバイザー

新聞社勤務を経て、フリーランス・ライターに転身。マーケティング会社での企画・広報などを兼務した後、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立し、2008年に株式会社神原サリー事務所を設立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」ことをモットーに顧客視点でのマーケティングを提案している。

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