自動車が土管になる時  PEST分析から読む近未来vol.3

2015.08.10

営業・マーケティング

自動車が土管になる時 PEST分析から読む近未来vol.3

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

<PEST分析のT> ロボットカーの実用化が視野に入ってきた。既に2011年には、アメリカネバダ州で、Googleが開発するロボットカー(ドライバーレスカーともいう)にナンバープレートが交付されている。自動運転の自動車が実用化された時、世の中はどう変わるのだろうか。


Googleの狙い、それはクルマを土管にすること

「土管」という表現に、違和感を感じる方もいるかもしれない。これは、かつて携帯電話のプロバイダーが、いずれ「土管屋」になるといわれたことに因んでいる。プロバイダーは、高いコストをかけて土管(=通信インフラ)を整備するだけで、その土管を使ってビジネスを展開しているのは、Appleであり、Googleであり、Facebookだというたとえである。

クルマが土管になるとは、クルマが、GoogleやApple、Facebookなどのビジネスインフラになることを意味する。例えば、町でGoogleのロボットカーを呼んだ時に、車内で何が起こるだろうか。

フロントウィンドウがモニターにもなりうることを考えてみよう。ユーザーはクルマに行き先を告げている。であるなら、到着地点近辺のさまざまな情報(広告ともいう)がモニターに表示されるだろう。Android経由でクルマを呼んでいるのだから、ユーザー情報はあらかじめわかっている。これに基づいて最適化された情報提供が行われるはずだ。

ユーザーは、無料でロボットカーを使える可能性もある。これまでに、Googleが展開してきたビジネスモデルを考えるなら、「サービスは無料」と考える方が、むしろ納得がいく。

誰が、いつ、どこからどこへ移動したのか、その目的は何だったのかといったビッグデータをGoogleは得ることになる。

Googleが扱っているモノの外見や機能は、自動車と同じ。けれども、自動車に与える役割が、例えばトヨタが開発しようとしている自動運転車とは、まったく異なるのではないか。Appleが狙っているのも、Googleと同じようなことなのだろう。

さて、このロボットカーが実現した時、この世からどんな職種が消えているだろうか。あるいは、どんな業種業態がなくなるのだろうか。自動車メーカーは、自動車産業の頂点に君臨し続けることはできるのだろうか。あなたの仕事に何らかの影響は及ばないだろうか。

電気自動車は、パーツを組み合わせるだけで簡単に作ることができる。だから、一説によれば中国には電気自動車メーカーが数百社あるともいう。そんな世界が、意外に近未来にやってくるかもしれない。

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