【変革を科学する#9】触媒になる

画像: Cliff

2015.09.04

組織・人材

【変革を科学する#9】触媒になる

森川 大作
株式会社インサイト・コンサルティング 取締役

​1823年にドイツの科学者ヨハン・デーベライナーは、白金のかけらに水素を吹き付けると点火することに気がつきました。白金は消耗しないのに、その存在によって、吹き付けた水素と空気中の酸素とを反応させることが出来たのです。

人が自分で口にするのを躊躇する最大の要因は、言ったら責任を取らされるというリスクでしょう。だから、責任を<取らせる>という雰囲気ではなく、責任を<果たせる>よう支援する場作りが必要になります。支援の環境が整っている場では、自ら口にし行動することが容易になります。確かに行動を起こすこと、自らのものとすることは、人にとって「荷」となるでしょう。でも、それを言ったが最後、人にとって「重荷」となるような文化では、誰も手を挙げません。むしろ、「荷」を負い合う「くびき文化」があると、人は当事者性を発揮しやすくなります。

3. ひとは自分に期待されると自分で動く
一肌脱いでやろうと思えることです。そのためには、自分がいないとどうなるかということが容易に想像できるようにしなければなりません。現状が本当の意味で分かっているのは<あなただけ>。<あなたが>動いてくれればみんなが連なるような影響力がある。<あなたが>成功の鍵。<あなたに>かかっている。<あなたに>やって欲しい。<あなたでないと>できない。という類のメッセージを送り続けることでしょう。よく、協力して欲しい、協力者を求めるといった姿勢が見られますが、その程度ではなく、強くて真剣なメッセージが人を動かします。

人の基本的な欲求には、他者貢献という高次元のものがあるのです。人は自分の利益と引き換えにしか行動しないと言われますが、突き詰めると、人にとって最高の利益は、実は自分の利益を後にして他の人に利益をもたらすことなのです。とっても不思議なパラドックスですが、人はそもそも利他的に造られているという本質を認識すれば、当事者性の発揮において、期待されることはとても大切な要素と言えます。

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森川 大作

株式会社インサイト・コンサルティング 取締役

わたしはこれまで人と組織の変革に関わってきました。 そこにはいつも自ら変わる働きかけがあり、 異なる質への変化があり、 挑戦と躍動感と成長実感があります。 自分の心に湧き上がるもの、 それは助け合うことができたという満足感と、 実は自分が成長できたという幸福感です。 人生は、絶え間なく続く変革プロジェクト。 読者の皆様が、人、組織、そして自分の、 チェンジリーダーとして役立つ情報を発信します。

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