新しい調達・購買部門の姿

2015.05.28

経営・マネジメント

新しい調達・購買部門の姿

野町 直弘
調達購買コンサルタント

これからの日本型調達購買部門のモデルについて語ってみます。

それに対し今後一層調達・購買部門(機能)に求められる期待、目的は何でしょうか。それは「サービス機能の強化」です。ここで言う「サービス」とは社内ユーザーや経営者だけでなくサプライヤも対象となります。またもう少し広く捉えると一般社会や地域住民のようなステイクホルダーも対象となり得るでしょう。
従来調達・購買部門(機能)は多くの企業で社内ユーザー部門からは嫌われる代表的な部門でした。しかし、これからの調達・購買部門(機能)は社内ユーザーに対してもより有益なサービス提供を行っていかなければなりません。

例えば開発部門に対してはより自社製品の競争力や魅力度につながるような技術の紹介や提案を行う。また、それだけでなくユーザー部門が欲しい情報をタイムリーに提供する、等のサービス機能を強化していくことが期待されています。

ある企業では「購買白書」なるものを作り社内ユーザー部門他に対して定期的に様々な市況情報や購買にかかる情報やデータを提供しているようです。このようにユーザー部門やその他の社内のステイクホルダーがどのような情報を欲しいか理解し、継続的に提供することで、当然関連部門からの評価は高まってきます。このような調達・購買部門(機能)の成果を測定するために社内関連部門のカスタマーサティスファクション(CS)を定期的に測定している企業もあります。

一方で有益なサービスの提供機能の対象は社内だけではありません。例えば対サプライヤに対するサービス提供も求められます。これは最近メルマガでも触れましたが正にサプライヤモチベーションを向上させていくことにつながるのです。サプライヤ個々が何を望んでいるのかを理解した上で、適正なサービスや情報、データ等を提供する。
これが良いサプライヤにやる気を出してもらい、こちらを向いてもらうための有効な方策になります。

このようなサービス部門としての機能強化という視点は実は昔から日本企業にはありました。優秀なバイヤーは社内関連部門やサプライヤに対して有益なサービス提供をしてきたからです。しかし、多くの企業ではそれを個々のバイヤーの役割として捉え、組織的な活動に落とし込めていませんでした。つまり個々のバイヤー任せになっていたのです。
そこが属人的たる所以です。昔から他部門やサプライヤからたいへん評判が良いバイヤーはいたものですが、そのようなバイヤーが必ずしも部門内で評価が高いかというと、そんなことはありませんでした。

今後、調達・購買部門(機能)にとって有効、有益なサービスの提供は益々その機能を求められていくことでしょう。それが「ビジネスモデルへの貢献」につながっていくのです。
このように従来のコスト削減、業務コスト最適化、社内統制・管理に加え有益なサービス提供がこれからの新しい調達・購買部門(機能)における期待や目的の一つであると言えます。また、今までの十数年間で培ってきたの欧米型の調達・購買モデルを超えた日本型調達・購買モデルの目指すべき方向の一つの解となるでしょう。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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