新入社員研修考~スキルとマナー習得を超えて伝えるべきこと

画像: Doug Belshaw

2015.04.01

組織・人材

新入社員研修考~スキルとマナー習得を超えて伝えるべきこと

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

新入社員研修においては、たしかに最低限のマナーとスキル、心構えを教え込んで現場に送り出すことが不可欠です。が、20代である彼らの1年1年の成長と不安は著しい。数年先まで見据えた「観・マインド」次元での教育が必要です。

今年も新入社員を迎える季節がやってきました。新入社員研修も始まります。4月からの入社直後の研修では、とにかく彼らに必要最小限のスキル&マナーを教えて、配属現場に送り出さねばなりません。私は主に「観・マインド」を醸成する研修プログラムをつくっています。本稿ではその観点から、入社から半年後くらいのタイミングで行う新入社員フォローアップ研修について書きたいと思います。


◆自信喪失・ミスマッチ感をどうフォローするか
新入社員たちが最初の研修を終えて配属現場に散り、半年くらい経ったとき、どんな点をフォローアップしていくか、それはさまざま考えられます。私は彼らを観察していて、次の3つの点にフォローが必要だと感じています。それは───

 1)「自信喪失感」へのフォロー
 2)「ミスマッチ感」へのフォロー (ここを中心に書きます)
 3)「自立から自律への意識醸成」のフォロー (本稿では割愛します)

1つめのフォローについて。半年後、新入社員たちの少なからずがさまざまに自信をなくし、落ち着かない気持ちでいることでしょう。先輩のようにてきぱきと仕事がこなせない。社外とのやりとりで緊張しすぎてしまう。電話を取るのが怖い。失敗を恐れるあまり能動的に動けない。上司との人間関係がうまくつくれない……など、アンケートではいろいろと不安を訴える声が出てきます。これに対しては、個別の面談と、OJTではまかないきれない追加の技術研修、例えばコミュニケーション研修やプレゼンテーション研修、フォロワーシップ研修などの対応があります。実際、現況のフォロー研修はこのようなメンタルケアの面談とスキル補強型が中心となっています。

2つめは「ミスマッチ感」へのフォローです。半年間、実際に仕事をやってみると、入社前の期待や理想と、現実の仕事内容や職場の雰囲気にギャップが生じ、それが不整合感や違和感となって表れます。配属が希望と異なっていた人であれば、なおさら「ミスマッチだ」となりますし、希望どおりに配属された人でも、「ひょっとしたら自分は場違いな会社を選んでしまったのかも」と感じはじめます。

ミスマッチは彼らにとって誘惑の言葉です。ミスマッチという理由づけによって、辛抱づよくその与えられた場で能力を開いていく努力を脇に置いて、ある種、自己肯定してしまえるからです。「自分には潜在能力はあるが、ミスマッチだから開けないだけなんだ。環境を変えればなにかが起こるはず」と。そして、ゲームのリセット感覚で転職を考える人も出てきます。特に景気が好転し、人手不足が顕著になると、第二新卒採用の案件は増加するのでなおさらです。

こうしたミスマッチ感による心の揺らぎは、半年後のタイミングから、その後1年も2年も続き、拡大することも起こります。大卒入社の3割が3年以内に離職するという現象は、このこととつながっています。入社3年目に次の大きなフォローアップ研修を施すところが多いですが、20代の彼らにとって、その揺らぎの1年間、2年間はとても長い。ですから、新入社員のフォロー研修は、彼らのその後の数年先まで見据えたプログラムが必要だと留意すべきです。

私はこうしたときこそ「観・マインド」にはたらきかけることが重要だと考えます。「観・マインド」とは、思考や感情、記憶をつかさどる精神性で、単純には、ものの見方・とらえ方、意識基盤といったものです。

観はだれの内にもすでになにかしらが醸成されています。ただ、その分厚さや堅固さ、向きは異なります。学生から上がったばかりの新入社員たちの多くは当然、観がぜい弱(未醸成)です。入社から半年経った彼らが、多少の違和感を「これはミスマッチだ」と考えてしまうのは、忍耐力の欠如というよりむしろ観のぜい弱さによるものだと思います。

ですから私が新入社員向けのフォロー研修で行うのは、観醸成を促し、一段深いところにもぐってものごとを見つめさせる訓練をすることです。この次元の教育によって、彼らの意識基盤をつくり、自律的に行動を抑制したり、促進したりします。本稿では、私が行っている具体的な方法を2つご紹介します。1つは「概念化して肚に落とすワーク」、もう1つは「分厚い観から出た言葉を提示すること」です。

◆仕事観・能力観・プロフェッショナル観を養うワーク
まず「モザイク作文」というゲームワークです。

〈ワーク1回目〉
□受講者に、「海」「幸福」「夏の日」「中華料理」「甘い」と印刷してある5枚のカードを配ります。
□次に、講師はホワイドボードに大きく「机」と書きます。
□そして課題作業を告げます。───「カードに記された5つの単語を盛り込んで(順番は自由)、ホワイトボードに書いてある「机」に物語が帰結するよう作文してください。時間は10分間」

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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