30年後も専業主婦がいるのか?

画像: Kristin Nador

2015.01.06

ライフ・ソーシャル

30年後も専業主婦がいるのか?

日野 照子
フリーランス ライター

NHKスペシャル『NEXT WORLD』の描く2045年が、サラリーマンと専業主婦、子供二人というステレオタイプ家庭だったことに驚く。もっと多様性を考えよう。

 しかし『第2回 寿命はどこまで延びるのか』では、ナノマシンでがん治療をして、それでもだめなら再生医療で臓器を取り換える。若返りの薬ができて、70歳でも80歳でも子供が産めるようになる。そんな世界を描いている。平均寿命が100歳を超える時代に、人はいったいどう生きるのかと問いかける。もしも、それがこの番組のメッセージなのだとしたら、こんな固定観念満載の近未来ドラマをなぜ作ったのだろう。

 100歳まで若く健康で生きられ、ホワイトカラーの仕事の大半をAIが担うとしたら、会社に何十年も通勤するだろうか。出世するかどうかで汲々としたりするだろうか。生涯一人の相手と家庭を築いたり、成長した子供のために専業主婦を続けたりするだろうか。まったく別の生き方を考えるのではないだろうか。

 テクニカル・シンギュラリティを越え、人間より賢いAIができても、社会生活が今の延長でしかないのなら、なんのためのAIだろう。これではAIは、社会を変えるイノベーションではなく、ただのインベンションになってしまう。人知を越えるのだから、可能性は無限にあるはずだ。AIもナノマシンも再生医療も、基本的に人間が幸せになるために研究されている。その幸せの形は、もっと様々な形であっていいと思う。

 大多数の視聴者には、これくらいのステレオタイプの方が受け入れやすいだろうと考えたのであろうNHKの制作スタッフの皆様にはぜひ、もっとまじめに多様性を考えて欲しいものである。



続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

日野 照子

フリーランス ライター

いつか時代は変わる。言葉は世界を変え、思いは伝播していく。誰かが誰かを抑圧し、搾取する社会を変えたい。

フォロー フォローして日野 照子の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。