「道」としての経営・「ゲーム」としての経営

2007.12.05

経営・マネジメント

「道」としての経営・「ゲーム」としての経営

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

「強い朝青龍」が帰ってきて、4カ月のドタバタは一気に沈静化。朝青龍は今後、相撲道を目指すのだろうか?それとも相撲ゲームを目指すのか?この一件から展開して、「経営」のあり方を考える

ボロぞうきんになるまで現役にこだわり続ける。
それは、三浦カズ、桑田真澄、野茂英雄もそうです。
彼らはすでに肉体的なピークを過ぎ、
ゲームプレイヤーとしての最上価値である「勝つこと」からはどんどん遠ざかっています。
しかし彼らは、サッカー道、野球道を求めてやまない。
そんな姿もまた、日本人の心のヒダに染み入ってくるものがあります。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

さて、ここからがきょうの核心部分です。

「道」なのか、それとも「ゲーム」なのか・・・それは“経営”にもいえることだと思います。
(ここでの“経営”とは、特に企業・ビジネスの経営をいいます)

私がかつて出版社でビジネス雑誌の編集をやっていたころ、
年間で100人近い経営者やビジネスのキーパーソンにインタビューをしていました。
そこで感じたのは、
経営を「ゲーム」(=利益獲得競争のための行い)ととらえている人がとても多いということでした。
経営は「道」であるとハラを据えてとらえている人はきわめて少ないと思います。
(もちろん一人の経営者の中で、経営は道かゲームかというのは、
白か黒かという立て分けではなく、あいまいなグレー模様でとらえるわけですが)

「よい経営者」とは、どんな経営者でしょうか?
・・・・この問いの答えは、千差万別に出てくるでしょう。
(それは、「よい横綱」とはどんな横綱ですかと問うのと同じように)

「経営はゲームである」という観点に立てば、
斬新な経営手法を考えつき、利益をどんどん創出し、
その会社を勝ち組にしてくれる経営者がよい経営者でしょう。
ただ、その金儲けの際、法律スレスレの手を使っている、あるいは、
従業員を大事にしない、社長室がやたら豪華で私的に交際費をつかう、
などの状況だったらどうでしょう、、、

相撲ゲームの世界においては、「ともかく強けりゃイイ・許せる」といって、
私たちはやんちゃな横綱・朝青龍を見守ることができます。
では、経営というゲームの世界において、
人格的資質やその経営手法に問題のある経営者をして
「ともかく利益を出せりゃイイ・許せる」となれるかどうか。。。

私はビジネス雑誌の取材で、ときどき、中小企業も訪れました。
確かに、金儲けはヘタかもしれないけれど、
堅気に自分の商売を貫き、時代に対応する努力を惜しまず、
従業員の雇用を守ることに一所懸命な経営者も世の中にはいます。
「経営は道である」との観点に立てば、
それはひとつの「よい経営者」であると思いました。

次のページ結局、それは経済を行なう人間の問題であるとの指摘です。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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